記事のポイント
- 経産省はTCFDサミットで「トランジション・ファイナンス」を強調
- トランジション・ファイナンスとは企業の脱炭素化を支援するファイナンス
- 気候変動をリスクだけでなく機会としても捉えて情報開示することを求めた
経済産業省は10月5日、「TCFDサミット2022」を開いた。世界全体でカーボンニュートラルを達成するためにTCFDを軸に金融の役割を話し合った。各セッションで強調されたのは、「トランジション(脱炭素社会への円滑な移行)」の重要性だ。(オルタナS編集長=池田 真隆)

TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)は、気候変動が企業や金融機関の財務に与える影響とそれらへの対応策を、投資家に開示する枠組みだ。G20(主要20ヵ国・地域)の要請を受けた金融安定理事会(FSB)が、2015年9月に設立した。
TCFDの枠組みで気候変動関連の財務情報の開示を義務化する動きが国際的に起きている。日本では東京証券取引所がプライム市場に上場する企業に「TCFD、またはTCFD相当」の情報開示を求めた。
この流れを受け、TCFDへの賛同機関数が急速に増えている。約1年前の2021年9月30日には世界全体で賛同機関数は2529だったが、2022年9月22日時点で3819機関に増えた。このうち、日本の機関数は全体の約3割に及ぶ1062だ。2021年9月30日には509だったので、約2倍に増えた。
今回のサミットでは、カーボンニュートラルを達成するためにTCFDを軸に金融の役割を話し合った。キーワードとして強調されたのは、「トランジション(脱炭素社会への円滑な移行)」の重要性だ。企業にはリスクだけで気候変動を捉えるのではなく、機会として情報開示することを求めた。