記事のポイント
- 日本製の空を飛べるホバーバイクが、米国で販売の準備を進めている
- 1回の充電で約40分飛行でき、価格は約1億2000万円を想定
- 災害救助、インフラ点検、交通弱者の救済などで活用の可能性
日本のベンチャーがつくったホバーバイク「XTURISMO(エックストゥーリスモ)」が、米国での販売を視野に入れて準備を進めている。「デトロイトモーターショー2022」(9月25日閉幕)にも出展され、飛行性能を活かして交通弱者が多い地域や災害現場での活用などが期待されている。(北村佳代子)

「『スター・ウォーズ』から抜け出してきたようだ」。ロイターによると、デトロイトモーターショー共同議長のサド・ゾット氏はエックストゥーリスモ試乗後に、こう感想を述べた。
エックストゥーリスモを開発したのは、ドローンなどを手掛ける日本のA.L.I.テクノロジーズだ。使用環境によるが、1回の充電で約40分飛行でき、最高時速は80〜100キロ、100キロの重さを持ち上げることができる。
エックストゥーリスモは前後2枚のメインプロペラと、方向転換をサポートする4枚の小型ブレードの計6枚のサイドプロペラを備える。衝突回避やレーダーなど、ライダーの安全を守るための安全機能やセンサーも無数に搭載している。4つの電気モーターとガソリンのハイブリッドによる駆動となっている。
米国での販売も視野に入れており、A.L.I.テクノロジーズの米国法人は米証券取引所(NASDAQ)に上場した。価格は77.7万ドル(1億1200万円)を想定しているが、今後は量産化によるコストダウンを進める。
将来的にはガソリンを使わない小型電動ホバーバイクを導入し、価格を一般的なレンジにまで下げていく計画だ。
A.L.I.テクノロジーズ社広報マネージャーの竹中悠満(ゆうま)氏は、オルタナ編集部の取材に対し、こう話した。
「大地震やハリケーンによる被災地救助はもちろん、インフラ点検にも活用していきたい。風力発電施設や橋梁など、有人のエクストゥーリスモなら目視での点検が可能です。世界には交通インフラが未整備な地域や、渋滞で雇用や移動の制約を受けている人も多くいます。こうした交通弱者のモビリティとしても展開していきたいですね」
今後、世界へ普及させていくには、各国でのレギュレーション上、どう分類されるのかがポイントだ。例えば現状、日本では、高さ2~3メートルの低空域を走行するため、航空機のような免許は必要ないが、トレーニング講習等の設置はあるとのことだ。
A.L.I.テクノロジーズはドローンの運航管理システムの開発も行っている。その経験を活かし、ハードのみならず交通ルールなどのソフトも含めたシステムとしての提供も視野に入れているという。
竹中氏は「今後、各国での実証実験を進め、国・関係自治体と連携しながら、ゼロから新しい空の交通インフラづくりに貢献したい」と意欲を見せた。
エックストゥーリスモの詳細やデトロイトでのフライトデモンストレーションの動画は、こちらから。