記事のポイント
- COP27が11月6日から18日までエジプトで開催される
- 最大の論点になりそうなのが「損失と損害(ロス&ダメージ)」だ
- NDC(国ごとに決定された貢献)が引き上げられるかも注目される
国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)が11月6日から11月18日まで、エジプト・シャルムエルシェイクで開催される。COP26では、世界が「1.5度」目標に合意し、実施指針が完成するなど大きく前進した。COP27では何が議論されるのか。注目すべき論点を紹介する。(オルタナ編集部)

2015年にパリで開催されたCOP21で「パリ協定」が採択された。同協定は、世界の平均気温上昇を産業革命以前より2度(1.5度)以内に抑えるために、21世紀後半までに温室効果ガス(GHG)排出をゼロにすることを定めた。
法的拘束力を持つ協定で、各国は削減目標(NDC:国ごとに決定された貢献)を定める。それを5年ごとに見直して改善していく仕組みだ。
COP26では、世界が「1.5度」目標に合意したり、ルールブック(実施指針)が完成したりするなど大きな進展があった。COP26を機に、金融業界の脱炭素化を目指すグラスゴー金融同盟(GFANZ)も生まれた。
COP27では何が議論されるのか。その論点を紹介する。
■途上国の「ロスダメ」をどう救済するか
COP27の最大論点になりそうなのが、「損失と損害(ロス&ダメージ)」だ。
気候変動対策は、GHGを削減する「緩和」、気候変動の影響に備える「適応」、「ロス&ダメージ」の3つの柱からなる。ロス&ダメージとは、気候変動の影響で発生した損失や損害に対する対策や救済を意味する。
特に、気候変動に脆弱な途上国での被害は深刻だ。これまでもCOPでは、どのように被害を回避するか、あるいはすでに発生した(これから拡大する)被害からどう救済するかが議論されてきた。だが、日本をはじめとした先進国はロスダメの議論に消極的で、あまり進展してこなかった。
「先進国が過去に排出したGHGによって被害を受けているのは途上国。先進国が資金的支援や技術移転などを含めた救済措置を取るのは当然」というのが、途上国側の主張だ。
今年のCOP27は、エジプトが議長国を務めること、開催を前にデンマーク政府がロスダメに対して1億デンマーククローネ(約20億円)の支援を表明したことなどから、支援の仕組みづくりが進むことが期待されている。
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