記事のポイント
- 農水省はコメやトマトなどの農産物をGHG排出量で「格付け」する
- 今年9月に始めた実証実験で、環境配慮型の農産物を選びやすくする
- 今後は算定基準や対象となる農産物の品目数について検討会で議論する
農水省は、コメ、トマト、キュウリを対象に生産時のGHG(温室効果ガス)排出量で格付けする取り組みを行っている。排出量に応じて一つ星から三つ星までを格付けして、製品にラベルを貼る。この実証実験は東京や大阪などのスーパーマーケットで実施しており、消費者が環境配慮型の農産物を選びやすくすることが目的だ。(オルタナS編集長=池田 真隆)

農水省は2021年、「みどりの食料システム戦略」を発表した。同戦略では、2050年に農林水産業のゼロエミッション化、有機農業の割合を25%に拡大することなどを目標に掲げる。
この戦略の一環として、サプライチェーンの脱炭素化に取り組む。「フードサプライチェーンにおける脱炭素化の実践とその可視化の在り方検討会」を開き、農産物の脱炭素化について話し合ってきた。
今回の実証実験はこの検討会が考えた。環境に取り組む農家が正当に評価されるように、農水省が「格付け」を行う。各地区の農家は農水省が持つ統計データの標準値と比較して、GHG排出量を5%以上減らしていれば一つ星の認定を受ける。10%減なら二つ星を、20%減だと最高位の三つ星となる。
2022年度の対象品目はコメとトマトとキュウリの3品目だ。農水省みどりの食料システム戦略グループの小田雅幸・課長補佐は「将来的には対象を20品目程度に増やしていきたい」と話す。
今年度は東京や千葉、大阪などのスーパーマーケットと連携して期間限定で実証実験を行う。ラベルの認知度や製品の売れ行きなどを調べる。
小田課長補佐は、「今年度は実証実験の結果を踏まえて、算定基準などについて議論する」と話す。
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