有報へのサステナ情報開示義務化、金融庁がパブコメ募集

記事のポイント


  1. 金融庁は11月7日、有価証券報告書への記載事項を改正する改正案を公表
  2. サステナビリティとガバナンスに関する取り組みの情報開示を義務化する​
  3. 改正案の適用は2023年度から、12月7日までパブコメを募集している

金融庁は11月7日、有価証券報告書への記載事項を改正する改正案を公表した。改正案では、有報にサステナビリティに関する取り組みの記載欄を新設し、ガバナンスとリスク管理については必須記載事項とすることを求めた。2023年3月31日以降の事業年度に係る有報から適用予定だ。金融庁はこの改正案について、2022年12月7日17時までパブリックコメントを募集する。(オルタナS編集長=池田 真隆)

有価証券報告書(有報)は、上場企業など一部の企業に作成が義務付けられている

金融庁は11月7日、「企業内容等の開示に関する内閣府令」などの改正案を公表した。この背景には、今年6月、金融庁の有識者組織「金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告」が、サステナビリティとコーポレートガバナンスの情報開示に関して、制度整備を行うべきだと提言したことがある。

金融庁ではこの提言を踏まえて、有価証券報告書と有価証券届出書の記載事項の改正に向けて取り組んできた。

サステナビリティ情報に関しては有価証券報告書などに、「記載欄」を新設して、サステナビリティへの考え方や取り組みを記入するように求める。

「ガバナンス」と「リスク管理」については、必須記載事項とする。「戦略」と「指標及び目標」については、重要性に応じて記載を求める。

 人材の多様性の確保を含めて人材育成の方針や社内環境整備の方針については必須記載事項とし、サステナビリティ情報の「記載欄」の「戦略」と「指標及び目標」で記載を求める。


女性活躍推進法等に基づき、「女性管理職比率」、「男性の育児休業取得率」「男女間賃金格差」を公表している会社とその会社の連結子会社に対しては、これらの指標を有価証券報告書などで記載することを求める。

改正案では、サステナビリティ情報の開示について「望ましい開示」をまとめた。下記の通りだ。

・「戦略」と「指標及び目標」について、各企業が重要性を判断した上で記載しないこととした場合でも、当該判断やその根拠の開示が期待されること
・気候変動対応が重要である場合、「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標及び目標」の枠で開示することとすべきであり、GHG排出量について、各企業の業態や経営環境等を踏まえた重要性の判断を前提としつつ、Scope1・Scope2のGHG排出量については、積極的な開示が期待されること
・「女性管理職比率」等の多様性に関する指標について、連結グループにおける会社ごとの指標の記載に加えて、連結ベースの開示に努めるべきであること

 
サステナビリティ情報開示については、国内外で開示の基準策定が急速に進む。国内外の動向を踏まえて、原則の改訂を予定しているという。

金融庁はこの改正案について、2022年12月7日17時までパブリックコメントを募集する。2023年3月31日以後に終了する事業年度に係る有価証券報告書などから適用予定だ。

・改正案の内容はこちら

M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナ輪番編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナ輪番編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

執筆記事一覧
キーワード: #脱炭素

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。