ユニリーバ、巨大プラットフォームでプラ循環目指す

記事のポイント


  1. ユニリーバがプラスチックの循環利用を促進するプラットフォームを設立
  2. 回収ボックスに使用済み製品を入れたりすることでポイントが貯まる仕組み
  3. 約30自治体と連携し、同社ではこの仕組みを営業戦略のコアに位置づけ

ユニリーバはプラスチックの削減と循環利用を促進するため、巨大プラットフォームを立ち上げた。駅や小売店に置いた回収ボックスに、同社のシャンプーやリンスなどの使用済み製品を入れたり、詰め替え製品を購入したりすることで寄付や買い物に使えるポイントが貯まる仕組みだ。このプラットフォームは2年前に同社の営業担当者が「環境と成長」を両立する企画として社内に提案した。すでに約30自治体に広がり、営業戦略のコアに位置づけている。(オルタナS編集長=池田 真隆)

UMILEプログラムを企画したユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティングの繁田知延氏

ユニリーバは2019年10月、プラスチックに関わる新たな目標を3つ掲げた。一つ目は、プラスチックパッケージを100%再利用可能・リサイクル可能・堆肥化可能にすること。二つ目は、非再生プラスチックの使用量を半減すること。

そして、最後が販売する量よりも多くのプラスチックパッケージの回収・再生を支援することだ。どれも2025年までの目標だ。

一つ目の目標については、繰り返し使えるボトルや単一素材のリサイクルしやすいつめかえ用パウチなどで取り組む。二つ目は、パッケージを薄くしたり、小さくしたりすることでプラスチックの使用量を減らす。

一つ目と二つ目は製品設計の段階で脱プラに注力することで達成を目指す。しかし、三つ目の目標は自社内の取り組みだけでは達成は難しい。自治体や小売店、消費者の協力が不可欠だ。

そこで、ユニリーバ・ジャパンが立ち上げたのが「UMILE(ユーマイル)プログラム」だ。このプログラムの仕組みはこうだ。

連携先の駅や小売店に回収ボックスを設置する。消費者は同社のシャンプーやリンスなどの使用済み製品をその回収ボックスに入れたり、詰め替え製品を購入したりすることで寄付や買い物に使えるポイントが貯まる仕組みだ。

UMILEの回収ボックス

一回の取り組みに対して、消費者は1UMILE貯まる。1UMILEで20円相当の「特典」と交換できる。

例えば、1UMILEを20ポイント分のLINEポイントと交換できる。1UMILEで20円を子ども支援団体に寄付できる。さらに、回収したプラスチックでつくったエコグッズと交換もできる。

「お得にエコ活」がUMILEプログラムのキャッチコピーだ。この取り組みは、2020年11月から始め、同社の営業担当が各自治体に資源回収の許可を取るべく交渉した。その結果、東京や埼玉、福岡など31自治体(2022年10月)に広がった。イオンや島忠などの小売店112店舗、駅構内1カ所(田園都市線南町田グランベリー駅)に回収ボックスを置く。

専用サイトでは毎月、UMILEを更新しており、2022年11月時点では85212のUMILEを発行した。

ポイント制度でサステナと収益の両立へ

このプログラムを立ち上げたのは、ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティングの営業担当者・繁田知延氏だ。繁田氏の役割は小売店の営業戦略を考えることだ。

2019年10月に同社が新たなプラスチック目標をグローバルで掲げた際、3つ目の「販売量よりも多くのプラパッケージの回収・再生」につながる取り組みが日本支社として十分にできていないと課題意識を持った。

そこで、「一緒に考えませんか」と部署内に呼びかけた。

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M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナ輪番編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナ輪番編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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キーワード: #脱炭素

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