記事のポイント
- アースデイに先駆けた調査で、日本は81%が「気候変動の影響を心配」
- 気候変動の対策強化を求める声は世界的にも80%を超えた
- 報道を通して取り組みを後押しする、世界的なメディア連携も立ち上がった
COP27が開催されているエジプト・シャルムエルシェイクで、人権問題への懸念が高まっている。現地報道や人権NGOなどの発表によると、COP27に合わせて計画された抗議活動などに関連して、150人以上がエジプト当局に拘束された。現地のタクシーには監視カメラが設置され、COP27会場のWi-Fiは、人権団体やニュースサイトなどへのアクセスを制限しているという。(オルタナ副編集長=吉田広子)

2010年から2012年にかけて大規模反政府デモ「アラブの春」が発生し、エジプトのムバラク独裁政権は崩壊した。だが、2014年のシーシ政権発足後も強権的な政治体制は続き、活動家やジャーナリスト、弁護士などに対する取り締まりは強まっている。
国際人権NGOのヒューマン・ライツ・ウォッチ(本部:米ニューヨーク市)によると、約6万人が政治犯として拘束されている。環境活動家に対しても、不当な逮捕や嫌がらせが横行し、活動が制限されているという。
COP27の開催に先立ち、国連の人権専門家は、エジプト政府に対し「活動の制限や報復をすることなく、すべての参加者の安全を保障しなければならない」と警告していた。
NGOなどが会場内外でデモを行うのがCOPの恒例となっているが、エジプトは抗議活動を事実上禁止しているため、COP27では抗議活動の場所が限定されているようだ。
COP27の関連イベントに参加予定だったイタリア人人権活動家のジョルジオ・カラッチョロ氏は、有効な入国ビザを持っていたにもかかわらず、エジプト当局は入国を拒否した。インドの環境活動家アジット・ラジャゴパル氏は、気候危機を訴えるキャンペーンの一環で、カイロからシャルムエルシェイクまで歩く旅に出たところ、拘留された。
シャルムエルシェイクでは、800台のタクシーにカメラの設置を義務付け、治安機関がそれを監視している。
ビジネスと人権リソースセンター(本部:英ロンドン)によると、COP27会場で提供されているWi-Fiは、ヒューマン・ライツ・ウォッチをはじめとした人権団体や、主要なニュースサイト、アル ジャジーラなど独立系メディアへのアクセスを制限しているという。
こうした人権問題への懸念から、11月10日の「化石賞」にはエジプトが選ばれた。