記事のポイント
- 英エレン・マッカーサー財団と国連環境計画(UNEP)は、グローバル大手130社などによる「持続可能なプラスチック包装材」の目標達成度合いを発表した
- それによると、リユース・リサイクル・堆肥化が可能なプラスチック包装材比率は65%だった
- 日本企業と比べると遥かに高い数字だが、同財団とUNEPは「進捗は遅い」と警告した
英エレン・マッカーサー財団と国連環境計画(UNEP)は11月2日、「新プラスチック・グローバル・エコノミー・コミットメント」の2022年版進捗報告書を公表した。同コミットメントで報告を約束した大手企業130社によるプラスチックの持続可能化比率は65%と、日本企業に比べて高い数字を示した。それでも同財団とUNEPは、130社のうちほとんどが2025年の100%目標を達成できないだろうと警告した。(北村佳代子)

同コミットメントは、サーキュラーエコノミー(循環経済)の推進で知られる英エレン・マッカーサー財団とUNEPが2018年に立ち上げ、世界500社以上が賛同した。内容は「2025年までにプラスチック包装を100%リユース・リサイクル・堆肥化が可能なものにする」という約束だ。日本企業からの報告は、食品包装用プラスチックフィルムを製造するフタムラ化学(愛知県)の1社だけだ。
今年の報告書は、ネスレ、ペプシコ、ユニリーバ、コカ・コーラ、マース、ロレアルといった、プラスチック包装材を大量に生産・使用・リサイクルしているグローバル大手の日用消費財企業を中心に、130社と17の政府機関の進捗状況をまとめた。
報告書によると、リユース・リサイクル・堆肥化できる持続可能なプラスチック包装材(重量ベース)がプラ包装全体に占める割合は、2021年は65.4%だった。2019年の63.2%、2020年の63.7%からわずかな上昇にとどまった。同財団は、このままでは2025年の目標である100%持続可能プラ化の達成はほぼ確実に難しく、目標達成に向けた取り組みが急務だとした。
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