記事のポイント
- ユーグレナには10代のCFO(Chief Future Officer)がいる
- 2019年から「18歳以下」を条件に全国から公募している
- CFOによって同社はどう変わったのか寄稿してもらった
■サステナ担当者リレーコラム(29)
企業のサステナビリティ担当者のリレーコラムです。参加するのは、14社のサステナビリティ/CSR担当者の皆さん。SDGsや脱炭素など、サステナビリティの潮流は高まるばかりです。CSR活動もますます重要になっています。各企業の担当者には、「自社の一押し活動」から日々の悩みなどを書いていただきます。第29弾はユーグレナの広報宣伝部コーポレートコミュニケーション課の本間道子さんです。
*CSRリレーコラム参加企業一覧
フジテレビジョン
日本航空
セブンアンドアイホールディングス
リクルート
千代田化工建設
リコージャパン
帝人
ゴールドマン・サックス
三菱地所
メルカリ
ユーグレナ
パナソニックホールディングス
リクシル
■ユーグレナには10代のCFOがいる
「皆さんはなんでペットボトルの飲み物を持っているんですか?」
「日本には働きたいと思う会社がない」
これらの言葉は、ユーグレナのCFOと、CFOとともに活動するFutureサミットメンバーから発せられた言葉です。ユーグレナのCFOは、Chief Future Officer、つまり最高未来責任者の意で、一般から公募をしています。条件はただ一つ「18歳以下」です。

ユーグレナは、社会課題解決を目的に創業した会社です。「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」を企業フィロソフィーに掲げています。ヘルスケアやバイオ燃料、バングラデシュでのソーシャルビジネスなど、サステナビリティに則した事業を行っています。
CFOを設置したのは2019年。気候変動をはじめとした社会課題解決は待ったなしの状態であるにもかかわらず、まだSDGsやサステナビリティという考えが世間に浸透していませんでした。
危機感をもったユーグレナの経営陣は、「会社として未来を変えていくためには、未来の当事者である子どもたちが議論に参加していくべき」として、18歳以下限定でCFOを設置しました。
■「大人の意見が入ったらそれはもうCFOじゃない」怒った出雲社長
いわゆる「若者ウォッシュ」にしないために、ユーグレナでは本気でCFOに取り組んでいます。応募者の居住地や年齢(18歳以下でフィルターはかけますが)、性別などは非表示で審査します。選考書類には全て目を通し、面接にはCFO事務局メンバーに加えて、CHRO・代表執行役員CEO・社長が対応します。

CFOとFutureサミットメンバーが決定してからは、CFO事務局メンバーは、並走し、サポートはするものの、彼女ら彼らの意見に介入しません。
こんなエピソードがあります。2代目CFOと経営陣がミーティングをした際に、CFOが事務局から提案された内容を述べたことがありました。
社長の出雲は、それが「大人」の意見であることにすぐ気付き、「大人の意見が入ったらそれはもうCFOじゃない。CFOが決めたことを我々はするんだよ」と怒ったのです。
CFOの実績ですが、初代は、「環境への意識の高さ低さにかかわらず、消費者が意識せずとも環境に配慮した行動をとれる仕組みの構築を目指す」とし、ペットボトル商品の全廃等を行いました。
2代目は、「ユーグレナが未来においても社会問題解決に挑戦し続けていくために仲間たちが仕事に対して情熱であふれ、新しいことに挑戦し、それを応援している状態を目指す」ため、新たに入社する仲間には役職や年齢に関係なく先輩2名を設定し、早く会社に慣れ、その人らしく活躍してもらうための人事制度「ペアレンツ制度」の導入等を行いました。
今年、3代目のCFOが就任しました。3代目は、「すべての会社にCFOがいたら、持続可能な社会に向けて加速できるのに」と言います。
CFOには毎回多数の応募があり、企業とともに未来を変えたい10代が沢山いるんだと実感します。CFOと同じ取り組みでなくてもいい、年齢や組織の枠を超えた同じ志の仲間たちと未来に向けてアクセルを踏んでいければと思っています。