記事のポイント
- 2022年のCOP27では、国際環境NGO出身の外交官もいた
- ドイツのモーガン気候変動問題担当特使もグリーンピース出身だ
- カナダでもグリーンピースの元幹部が環境・気候変動相に
2022年11月のCOP27(第27回気候変動枠組条約締約国会議、エジプト)には、130カ国を超える政府代表・外交官が集まった。その中で、国際環境NGOの元スタッフが政府の外交官として交渉に入る姿も目に付いた。ドイツ外務省のジェニファー・モーガン気候変動問題担当特使もその一人。今年2月の就任までは、国際環境NGOグリーンピース・インターナショナルの国際事務局長を務めていた。(北村佳代子)

ジェニファー・モーガン氏は、米ニュージャージー州に生まれ、米インディアナ大学で政治学とドイツ語学科の学士号を、アメリカン大学国際関係学部で国際関係学修士号を取得した。
同氏は、グリーンピースでの活躍前にも、世界自然保護基金(WWF)の地球規模気候変動プログラム責任者、第三世代環境保護主義(E3G)の地球規模気候変動ディレクター、世界資源研究所(WRI)の気候プログラムのグローバルディレクターを歴任し、一貫してNGO/NPO団体をリードしてきた。
2022年2月、モーガン氏をドイツ政府の気候変動問題担当特使に抜擢したのは、緑の党の共同代表ベーアボック外相だ。米国出身のモーガン氏が、2003年から居住するドイツ国籍の申請中の発表となった。
ベーアボック外相は、この人事を発表した記者会見で、「気候危機問題は、国家レベルだけでは対処できない。ジェニファーがドイツの気候変動政策の指揮を執ることで、世界各国とのパートナーシップはさらに広がり、市民社会との対話も深まっていくだろう」と期待を示した。
ドイツ政府が通常、省庁のトップに外国人を据えることはない。メディアに精通し、グリーンピースの活動家としても知られるモーガン氏の政府高官への抜擢は極めて珍しい。
野党の政治家の中には、この人事に激怒した人もいた。しかしベーアボック外相は、「気候変動担当特使は、なにも彼女一人と決めているわけではない。将来的には、226あるドイツ在外公館すべてを世界中の気候大使館にしていきたい」と述べた。
昨年グラスゴーで開催されたCOP26では、モーガン氏はグリーンピースの国際事務局長として、太平洋諸島の脆弱な国々らと肩を並べ、裕福な環境汚染国に対抗してきた。今年のCOP27では、ドイツ政府の代表として、貧困国を支援する「損失と被害」基金の設立に向けて奔走した。
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