「東海地震の確率論では分かりかねる。政治的パフォーマンスだ」(5月9日)
中部地方をお膝元とするスズキやトヨタ自動車のトップが浜岡原発の停止を評価したのに対し、米倉氏は、起きるかどうか分からない地震で原発を止めるなといった。東海地震が30年以内に発生する確率は87%と予測されているが、そんなことは眼中にない。
米倉氏の主張は、国民の安全より経済優先を考えているようにしか受け取れない。そのために、なりふり構わず原発を擁護しているように見える。
「東京電力福島第一原発事故の原因を徹底的に究明し、事故の再発防止に向けた対策を着実に講じた上で、原子力の活用を考えることが重要」(6月8日)
「これ以上電力の供給能力が下がれば、(生産活動が低下した)国内企業の設備投資が止まり、雇用維持が難しくなる」(7月11日)
経団連会長のまたの名は「財界総理」。文字通り産業界のリーダーが就くポジションで、経済大国日本をまとめ上げ、牽引する人物が求められる。そこにはおのずから、経済人としての規範や倫理が求められるはずだ。果たしていまの日本に、米倉氏を尊敬できると断言できる人がどのくらいいるのだろうか。(森 摂、形山昌由)