記事のポイント
- PRIは12月1日、スチュワードシップ・イニシアティブ「アドバンス」設立
- 主要機関投資家など約220 機関が参画し、投資先に人権対応を働きかける
- 特徴は約120の投資家が協働して、投資先の企業に働きかける点だ
国連責任投資原則(PRI)は12月1日、スチュワードシップ・イニシアティブ「Advance(アドバンス)」を立ち上げた。同イニシアティブには世界の主要機関投資家など約220 機関が参画しており、その内約120機関が協働して、投資先企業に人権対応を働きかける。人権リスクが高い金属・工業・再生可能エネルギー業界の40社を対象に「協働エンゲージメント」を行う。(オルタナS編集長=池田 真隆)

アドバンスに参画する約220の主要機関投資家の運用資産総額は30兆米ドルを超える。日本からは第一生命保険、りそなアセットマネジメント、明治安田生命保険相互などが参画する。
アドバンスの特徴は、投資家が協働して、投資先の企業に働きかける点にある。人権と社会課題(ESGのS)に対する行動喚起を促す。具体的に企業に求めるのは3点だ。
一つ目は、人権に係る企業の行動規範である、「国連ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)」の実施だ。二つ目は政治的関与だ。人権尊重につながるロビー活動ができているかを見る。最後は、自社以外を含む事業活動全体での、人権課題への対応を求める。
働きかけ行う対象企業は、金属・工業業界の25社と再生可能エネルギー業界の15社の計40社。日本からは鉄鋼メーカーの日本製鉄がリストに入った。今後、対象企業を増やしていく予定だ。