記事のポイント
- アクセンチュアは世界の有力企業2000社の排出削減目標と実績を調査
- 30年までに削減量を倍にしないと9割の企業がネットゼロ未達と分析
- 背景にはエネルギー価格の高騰と供給不安の拡大がある
アクセンチュアはこのほど、世界の有力企業2000社の排出削減目標と実績を調査した。その結果、2030年までに二酸化炭素の排出削減量を現在の倍にできなければ、ほぼ全ての企業(93%)でネットゼロ目標の達成は困難だと発表した。パリ協定と整合した脱炭素目標を証明するSBT認定を取得する企業は増えているが、エネルギー価格の高騰と供給不安の拡大で、ネットゼロ目標の達成は厳しいことが分かった。(オルタナS編集長=池田 真隆)

アクセンチュアはこのほど、調査レポート「Accelerating global companies toward net zero by 2050(2050年のネットゼロ達成に向けて加速するグローバル企業)」を発表した。
調査対象企業の選定には、同社が収益に基づき独自に抽出した世界の有力企業2000社のリスト「Accenture Global 2000」を使った。
レポートでは、スコープ1、2でネットゼロ目標を達成する可能性のある企業はわずか7%と推測した。仮に目標年度を2050年にした場合でも8%だった。
削減ペースを2030年までに現在の2倍、それ以降では3倍に加速するシナリオでも、2050年までに59%の企業が目標を達成できないと分析した。
日本では2022年4月以降、東京証券取引所がプライム市場に上場している企業に対し、TCFD提言に沿った気候変動リスクの開示を実質義務化した。これを義務と捉えるか、好機と捉えるかで大きく「差」が出る。
アクセンチュアの海老原城一・ビジネス コンサルティング本部サステナビリティプラクティス日本統括マネジング・ディレクターは、「気候温暖化リスクに前向きに取り組み先行者利益を目指すのか、あるいは後期追従に甘んじるのか、まずは企業の取り組み方針を定めることが肝要だ」と話した。