ESG可視化、「実効性」高める

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ESGマネジメントサポートサービス事例:日立建機

日立建機は労働災害を未然に防ぐために、さまざまな安全衛生活動に取り組む。中でも「リスクアセスメント」を、サステナブル経営を推進する上で重要な活動と位置付けた。同社では日立製作所のクラウドサービス「ESGマネジメントサポートサービス(以下ESG-MSS)」を導入し、安全衛生に関わる取り組みを可視化し、サステナ経営の実効性を高める。 (オルタナS編集長=池田 真隆、写真=岸本純)

日立建機の安全衛生を担当する人財本部安全衛生部の重田康成担当部長

ESG-MSSは企業内のESGデータの収集や可視化、分析を効率化するサービスだ。ESG領域の取り組みを企業に求める投資家は増えているが、企業内では情報収集が難しいという課題があった。

ESG-MSSは温室効果ガス(GHG)削減量・安全衛生・不正リスクなどのデータを収集し、ダッシュボードで簡単に管理できるものである。社内の複数部署や海外拠点、グループ会社、調達先などと連携することで、ESGデータの収集から可視化、統合報告書などの開示情報の整理まで、シームレスに行うことが可能だ。

可視化しづらかったESG施策の達成状況などをモニタリングし、経営判断を下す際の参考情報として整理する。部門単位の利用だと、月数十万円から利用できるところも魅力のひとつだ。

4万件のリスク、データで可視化

日立建機では2020年からこのESG-MSSの実証を行ってきた。国際規格ISO45001のリスクアセスメント業務を対象にESGMSSでデータを収集した。

同社では2012年から各現場の管理監督者がEXCELなどで労働安全に関わるリスクを報告していた。この方法で抽出するリスクは毎年3千件程度におよび、2020年度末時点で、収集したリスクは3万7900件に達していた。

日立建機は「安全・健康」を軸に非財務価値を高める

現場で行われたリスクアセスメントの結果は一定の基準に従って評価され4段階のリスクレベルごとに安全衛生施策をまとめる同社の人財本部安全衛生部に提出されるが、リスクは件数として把握されるものの、特定された危険源や必要な対策の内容は十分共有されておらず、現場間の災害予防策に役立てることが出来ていなかったという。

日立建機・人財本部安全衛生部の重田康成担当部長は、「手段であるはずのリスクアセスメント自体が目的になっているという問題意識があり、本来の目的である労働災害や事故の未然防止に十分につながっていなかった。その結果として災害・事故の件数が減らず、主体的にリスクを特定し、労働災害を予防しようとするモチベーションも低下してしまうのではないかと考えた」と話す。

情報収集を改善、工数34%削減

リスクアセスメント業務を見直し、形骸化を防ぐことを目指して、ESG-MSSを導入した。重田担当部長がまず取り組んだのは、リスクアセスメントにおける用語やリストへの表記内容の標準化だ。

現場で発生する災害の想定について、実施者ごとにばらつきがあった。そこで、リスクの記入方法に一定のルールを設け、安全担当者間の意識をすり合わせた。

日立建機は「安全・健康」を軸に非財務価値を高める

E S G-M SSでは収集するデータの定義を自由にカスタマイズできる。また、入力された回答データの不具合を自動検知してエラー通知する機能や自動リマインド機能など、収集作業を効率化できる管理者機能が揃っている。

今回の実証では煩雑なデータのやり取りが効率化され、現場部門含め年間約34 %の工数削減につながった。

このようにして捻出された時間を安全策の検討、実際の現場作業の観察などに充てることで、安全な職場環境づくりを前進させようとしている。

「ESG-MSSでは、日ごろのEXCEL帳票を活用しつつ、メール送受信で集めたデータが蓄積されていく。安全衛生活動にデジタライズを取り入れていく流れも作りたかった」と重田担当部長は話す。

さらに、「収集されたデータの活用の幅を広げていくことによって、顕在化されたリスク情報を共有し、本質安全化対策に結び付けていきたい」と展望を語る。

今後の課題は「データの利活用」だ。各現場から集まったデータをダッシュボード上で管理することで、リスクレベルごとの件数や特徴、職場での分布や対策の内容を分析する道筋はできた。

分析したデータを「労働災害リスク」として整理し、リスク対策のための投資判断の指標にすることをめざす。重田担当部長は「働く人が安全・健康であることは企業の価値であり、より長く、より健康に働きたいという社会ニーズは多くの人が共有している」とし、「労働災害や職業性疾病を無くすことは企業価値の向上に直結する」と強調した。

「経営層が経営判断を下す際の参考情報にするだけでなく、リスクアセスメントの結果を誰でも、いつでも確認できるようにしていきたい。リスクを見える化することで、部署間で意見を出し合い、組織全体が自分事として理解できるようにし一緒に良くしていくような環境をつくることで、リスク低減対策の質的な向上を図りたい」

ESG-MSSで収集できるのは安全衛生分野だけではない。ESG領域のあらゆるデータを収集・分析、可視化できる。日立建機は、ESGMSSを活用しながら、ESG領域の取り組みを進め、サステナビリティ経営に舵を切る。

*EXCELは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。その他、記載の会社名、製品名などは、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。

M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナ輪番編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナ輪番編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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キーワード: #サステナビリティ

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