金融庁がESG投信の定義を厳格化、投信の名称も制限へ

記事のポイント


  1. 金融庁はこのほど、ESG投信の定義を明確化した原案を公表
  2. 「ESG統合」の考えを定義から外し、投信の名称にも制限を掛けた
  3. 2023年1月までパブリックコメントを募集している

金融庁はこのほど、ESG投信の定義を明確化した原案を公表した。名称や投資戦略にESGを掲げるファンドが国内外で増えてきたが、運用実態が見合っておらず「グリーンウォッシュ」だという懸念が指摘されていた。原案では、従来の「ESG統合」の考えをESG投信の定義から外し、投信の名称にも制限を掛けた。(オルタナS編集長=池田 真隆)

金融庁は12月19日、「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」の一部改正(案)を公表した。ESG投信の範囲を明確化して、ESGに関する公募投資信託の情報開示や投資信託委託会社の態勢整備について、具体的な検証項目を定めた。

近年、ESGを掲げるファンドは増えてきたが、同時にグリーンウォッシュ(見せかけ)なものも多い。金融庁ではその防止を目的に2021年11月から調査に乗り出していた。

国内の資産運用会社37社・投資信託225本を対象に調査を実施し、2022年5月に「資産運用業高度化プログレスレポート2022」を公表した。同レポート内で、「ESG投信を取り扱う資産運用会社への期待」をまとめた。

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今回の監督指針の改正はこの期待をもとに行った。ESG投信の定義は下記の通りとした。

① ESGを投資対象選定の主要な要素としており、かつ、
② 交付目論見書の「ファンドの目的・特色」に、その旨を記載しているもの
なお、外部委託運用の場合は、投資戦略を踏まえ、投資信託委託会社が適切に判断することとする。

従来は財務情報にESG要素を組み入れる「ESG統合」の考えをもとに企業を評価していた。しかし、今回の原案ではESG統合の考えを、ESG投信の定義から外した。

原案で示した定義に該当しない投信の名称も規制した。ESG、SDGs、グリーン、脱炭素、サステナブルなどの用語を含めてはいけないとした。

金融庁ではこの原案に対して、2023年1月までパブリックコメントを募集する。3月までの策定を目指す予定だ。

金融庁が公表した原案はこちら

M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナ輪番編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナ輪番編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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キーワード: #ESG

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