大賞は十勝バス:「クルマ・社会・パートナーシップ大賞」

記事のポイント


  1. 日本自動車会議所は「クルマ・社会・パートナーシップ大賞」を発表した
  2. 68件の応募のなかから、30件の「グッドパートナーシップ事業」を選定した
  3. 大賞には十勝バスのプロジェクトを選出した

日本自動車会議所(東京・港)はこのほど、第2回「クルマ・社会・パートナーシップ大賞」(CSP大賞)の受賞事業を発表した。68件の応募から、30件の「グッドパートナーシップ事業」を選定した。大賞には、十勝バス(北海道・帯広)の「郊外エリアの地域再活性や移動機会増加を目指し、地域のコミュニティづくりをベースとしたアナログ重視型のMaaS実装の諸活動」を選出した。(オルタナ編集部・萩原 哲郎)

大賞には十勝バスの事業が選出

「クルマ・社会・パートナーシップ大賞」は同会議所と日刊自動車新聞社(東京・港)が共催して、2021年9月に創設した。自動車業界の就業者数は550万人にのぼる。それらの人々と自動車ユーザーによる様々な取り組みを広げるのが目的だ。

第2回は昨年9月に公募を開始し、11月末までの約2カ月間で68件の応募があった。30件の「グッドパートナーシップ事業」から、「大賞」「選考委員特別賞」、部門賞の「モビリティ・ソリューション賞」「地域・コミュニティ活性化賞」「SDGs貢献賞」「自動車ユーザー連携賞」の各賞が決まった。

選考委員会の鎌田実委員長(東京大学名誉教授)はそれぞれの応募について「長期間にわたり地道に熱心に取り組まれているものが多く、前回にも増して難題を突き付けられる議論となりました」と振り返った。

大賞となった十勝バスの事業については「人口高齢化・移動難民や買物難民の発生という日本各地で起こっている課題に対して、事業者と行政・地域住民がそれぞれの役割を果たしながら同じベクトルを向いて成果をあげてきている有力な取り組み」だと評価した。

表彰式は2月10日に都内会場で開催する。

受賞事業は以下の通り。

1.大賞

・郊外エリアの地域再活性や移動機会増加を目指し、地域のコミュニティづくりをベースとしたアナログ重視型MaaS実装の諸活動(十勝バス、北海道帯広市)

2.選考委員特別賞

・地元の声を受け社内有志「車イスドクターズ」が近隣施設を定期的に訪問。年500台以上の車イス修理を26年にわたり活動(豊田合成、愛知県清須市)

3.部門賞

(1)モビリティ・ソリューション賞

・車イス利用者に向けた移動型バリアフリートイレ「モバイルトイレ」の開発や震災被災者への車中泊に関する啓蒙活動の取り組み(トヨタ自動車、愛知県豊田市)

・AI等の活用により運転特性計測などができる「GOOD DRIVE アプリ」を全てのドライバーへ無料提供するなど交通安全への貢献(ソニー損害保険、東京都大田区)

(2)地域・コミュニティ活性化賞

・買い物空白地域の困りごと対応のため、地元スーパーと連携した食料品や日用品などの買い物代行サービス「ジモトヨタ」の展開(トヨタモビリティ東京、東京都港区)

・子供達の地域社会での健全な成長への支援として、児童養護施設に対してランドセル寄贈を行う「ラン活」の取り組み(ホンダカーズ東総、千葉県旭市)

・創立 75 周年に開業した施設「ミナテラスとちぎ」を活用した一時預かり託児所開設や各種イベント開催など地域に貢献する諸活動(栃木トヨタ、栃木県宇都宮市)

(3)SDGs貢献賞

・全国の盲導犬不足の状況を受けて、会員企業社員や一般からの募金を基に盲導犬育成への助成を行う 30 年以上にわたる活動の継続(日本自動車販売協会連合会、東京都港区)

・地球温暖化防止に向けて独自の継続的なエコドライブを実践し、CO₂等削減を図る「グリーン・エコプロジェクト事業」の取り組み(東京都トラック協会、東京都新宿区)

(4)自動車ユーザー連携賞

・職業ドライバーのマナー向上 ・ユニバーサルデザイン化により、ドライバー・利用者双方の安全・安心に寄与し、地域に貢献する諸活動(神奈川トヨタ自動車、神奈川県横浜市)

・学生フォーミュラ大会の開催を通じて、大学生・高等専門学生が実践的なものづくりを学ぶ 20年にわたる人材育成活動の継続(自動車技術会、東京都千代田区)

その他の選定事業は以下の通り。

・免許不要で歩道を走れる近距離モビリティ「WHILL」の普及による自動車ディーラーとも連携した交通諸課題解決に向けた対応(WHILL、東京都品川区)

・トラック物流に携わる人へ感謝を伝えるプロジェクトやコミュニティバス専用スタッドレスタイヤの商品化(TOYO TIRE、兵庫県伊丹市)

・離島において小型EVを平日公用車、休日は島民利用することなどを通じた EV普及・環境負荷軽減、公用車管理費削減などへの対応(鹿児島トヨタ自動車、鹿児島県鹿児島市)

・参加者の環境保護意識を高めるための公的機関と連携した森づくり事業やオークションにおけるCO₂削減に関する取り組み(オークネット、東京都港区)

・公共交通が不便な地区で利用者と地元企業が支える定額送迎サービス「チョイソコひさえだ」を開始し他地区にも展開する取り組み(ネッツトヨタ瀬戸内、愛媛県松山市)

・自然と共生する工場を目指して従業員ボランティアによる森林整備や地元と連携した河川の清掃・環境学習活動を進める取り組み(愛三工業、愛知県大府市)

・交通事故のない安全な社会の実現に向けた交通安全教室・サポカー体験会開催など30年にわたる地道な交通安全活動の継続(長野県自動車販売店協会、長野県長野市)

・車内の3密という課題に対し、ニューノーマルな車室空間の創出を目指すタクシー向け飛沫防止パーティション「vi:ease」の実用化(トヨタ紡織、愛知県刈谷市)

・会員店ネットワークを活用し、共生社会の実現に向けた福祉車両利用拡大・清掃活動・震災避難場所提供・交通安全啓発などの諸活動(東京都中古自動車販売商工組合、東京都足立区)

・自動車業界に関わる女性が貢献できる交通安全啓発として、ドライビングシューズなどの利用拡大などを呼びかける諸活動(交通安全プロジェクト「OKISHU」(オキシュー))

・使用済自動車の部品を再利用する自動車リユース部品のCO₂削減効果を基に利用拡大や環境啓発などに取り組む一連の諸活動(NGP日本自動車リサイクル事業協同組合、東京都港区)

・グループ全体での総合的なSDGsへの取り組みとして、森づくり、EV普及や市町村との災害連携協定をはじめとした一連の諸活動(山形日産グループ、山形県山形市)

・小売店に移動販売車両と公園などの出店スペースをセットで貸し出し、地域に多様な移動店舗を提供する「&MIKKE!」の取り組み(ShareTomorrow、東京都中央区)

・工場の地元である衣浦湾沿岸で絶滅危惧種のコアジサシをはじめとした鳥類の楽園の復活や樹林の保全などに向けた取り組み(豊田自動織機、愛知県刈谷市)

・顧客とのやりとりから始まった結婚相談所「とよ婚」のサービス開始や太陽光パネルの普及拡大など地域の諸課題への積極的対応(ネッツトヨタニューリー北大阪、大阪府豊中市)

・経営理念である「地域社会に貢献する」一環として県内保育園・幼稚園へお散歩カーを継続的に累計175台寄贈するなどの取り組み(CNホールディングス、千葉県千葉市)

・チェアスキー用ショックアブソーバーの開発および日本障がい者スキー連盟に対する協賛・技術サポートの取り組み(カヤバ、東京都港区)

・本年4月より園児置き去り防止安全装置の取付義務化に先がけて、事業者の通園バスに無償モニターを取付ける支援策の展開(IDOM、東京都千代田区)

・無償コミュニティバスを自家用有償運送によるドアtoドアのデマンド交通「村タク」に改善し、住民の利便性向上を図った取り組み(やまなみ交通運営協議会、京都府南山城村)

2014年から不動産業界専門新聞の記者職に従事。2022年オルタナ編集部に。

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キーワード: #CSR

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