IPCCの最新の報告書は、人間が地球を温暖化させてきたことは「疑う余地がない」としています。また、近年の気候に関する研究の99.9%が、気候変動は人間が原因であることに同意しています。
そんな中、温暖化の原因は人間ではない、深刻化する異常気象の被害と温暖化は関係がないと発信するシンクタンクに、日本を代表する大企業キヤノンが出資していることのリスクを環境NGOが指摘しました。
気候変動否定論に対して、私たちにできることとは?
■「気候危機は何処にも存在しない」
「今後も緩やかな温暖化は続くかもしれない。だが破局が訪れる気配は無い。『気候危機』や『気候非常事態』と煽る向きがあるが、そんなものは何処にも存在しない」
これは、キヤノングローバル戦略研究所の研究主幹の一人が執筆した、2021年4月付けの雑誌記事からの抜粋です。
環境NGO・Action Speaks Louderは2022年に発表した報告書で、キヤノンがサステナビリティを掲げて動物や自然をイメージさせるブランドを築いてきた一方で、同社のシンクタンクが気候変動否定論のプラットフォームとなっていることを厳しく非難しています。

■99.9%の研究が気候への人間の影響を認めている
2012年から2020年の間に英語で発表された気候に関する研究88,125件の中からランダムに選んだ3,000件を分析した調査では、気候変動が人間活動によって引き起こされていることを否定するものは4件でした。99.9%以上の研究が、人間が気候を変動させていることを認めていることになります*。
この調査の共同執筆者であるコーネル大学のベンジャミン・ホウルトン(Benjamin Houlton) 教授は、
「私たちはすでに、ビジネス、生活、経済において、気候に関連した災害による壊滅的な影響を現在進行形で見てとることができ、新たな解決策を素早く導入するためには、温室効果ガス排出の影響を認めることが不可欠です」
と語っています。
また、2021年に発表されたIPCCの第6次評価報告書では、「人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない。大気、海洋、雪氷圏及び生物圏において、広範囲かつ急速な変化が現れている」*とまとめられています。

■気候変動の深刻さを否定するキヤノンのシンクタンク
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