記事のポイント
- キリンはエクイティ(公平性)の観点から男性社員の働き方改革に取り組む
- 2023年中には男性社員の育休取得促進、経営職向けの研修などを強化する
- 同社は「世界のCSV先進企業」を目指しており、多様性を推進する
キリンホールディングスは「エクイティ」の観点から男性社員の働き方改革に取り組む。男性社員の育休取得を促進したり、仕事と育児などを両立しやすいように遠隔地からの勤務を認める制度を導入したりする予定だ。同社は2019年に長期経営構想として「世界のCSV先進企業」を目指すことを打ち出した。そのための施策として多様性の推進に力を入れる。(オルタナS編集長=池田 真隆)

キリンホールディングスは1月31日、「キリングループ多様性推進プラン」を策定した。このプランは、ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンの3本柱から成る人材戦略だ。
人材戦略にダイバーシティとインクルージョンを掲げる企業は多いが、「エクイティ」を明確に表明する企業はまだ少ない。エクイティとは、公平性という意味だ。
エクイティが重要視され出した背景には、多様な人材が能力を発揮するには、多様性と包括性を意味する「ダイバーシティ&インクルージョン」(D&I)では不十分だという考えがある。
人材戦略におけるエクイティとは、全ての人のスタート地点は平等ではないという考えを前提にしている。こうした考えをもとに、不均衡を是正する取り組みを指す。
同社は、2023年中には男性社員の育休取得促進施策や経営層向けにe-learningツールを活用した、「アンコンシャス・バイアス」に関する研修を行う。
エクイティを軸にした施策の第一弾として同社が検討を始めたのが、「遠隔地勤務制度」だ。仕事と育児などを両立しやすいように、遠隔地からの勤務を認める制度を検討中だ。
同社は2019年に長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027」を策定し、2027年の目標を「世界のCSV先進企業」としている。同社は食、ヘルスサイエンス、医など多様な事業ポートフォリオを持つ。これらの領域でイノベーションを生み出すために、多様性を重視する。
同社の人事総務部に務める豊福美咲氏は、「持続的な事業成長・企業価値向上のためにこのプランをもとに、人財戦略を加速していく。プランの目標年である2027年に向けて制度改正などにも取り組む」と話した。