東日本大震災から12年になる23年3月11日、ヤフーとLINEは「検索は、チカラになる。」を実施している。ユーザーが「Yahoo!検索」、「LINEニュース」の検索機能で「3.11」と検索すると、一人あたり10円を各社が災害・復興支援活動に寄付する。特設サイトでは、「スマホ避難シミュレーション」や防災グッズの紹介も行う。親会社のZホールディングスは、当事者意識の希薄化を懸念し、大学生向け「防災・減災体験ワークショップ」も開始した。(オルタナ副編集長=吉田広子)

ZHDグループは、事業を通じて解決する社会課題の中でも、特に注力する領域として「情報技術を活用した防災・減災への取り組み」を掲げている。
「検索は、チカラになる。」も、その一環だ。2022年は、のべ約1127万人が参加し、福島をはじめとした東北支援を行う団体などに、総額約8197万円を寄付したという。
「3.11」企画の特設サイトでは、被災者の声や寄付先の活動、避難訓練コンテンツ、防災や避難時に役立つアプリ、防災グッズなどを紹介している。改めて、防災意識を高めるのに役立ちそうなコンテンツ群だ。
例えば、ヤフーとLINEが開発した「スマホ避難シミュレーション」は、3分間の動画で、災害発生時の行動や避難方法、安否確認などについて、クイズに答えながら体験できる。
- トルコ地震で防災意識は高まったのか
Zホールディングスはこのほど、防災意識の希薄化を防ぐために、大学生向けに「防災・減災体験ワークショップ」を開始した。福島県でのフィールドワークや、ワークショップを通じて災害の事実や復興の現状を学ぶ機会を大学生に提供する。
現在の大学生の多くが震災当時は10歳以下で、世代交代によって災害に対する当事者意識が薄れていくことを防ぐのが目的だ。
同社のビッグデータの分析によると、「防災グッズ」の検索は、国内で地震が発生した際に急に増えるという。トルコとシリアでは、2月6日に大規模な地震が発生し、甚大な被害が発生したが、防災グッズの検索数は大きく増えなかった。
「防災・減災体験ワークショップ」を企画したZホールディングスの徳應和典・コラボレーション推進マネージャーは、「トルコ・シリア地震は、決して遠い国の出来事、自分とは関係のない出来事ではない。日本は世界でも有数の自然災害が多い国だ。被害を少しでも減らすために取るべき行動を知って、備えておく必要がある」と語る。
「大学生が被災地を訪問し、災害の現実を自分の目で見ること、被災者の方の話を自分の耳で聞くことは、意識の変化において大きな意味を持つはず。PBL(課題解決学習)を通して、若い世代の防災・減災意識を向上させることの重要性に気付き、具体的な行動につなげるきっかけになれば」と続けた。