記事のポイント
- 海外メディアが、日本の「グリーントランスフォーメーション」を痛烈に批判
- 炭素回収、ガス、アンモニアの混焼推進などは、化石燃料の延命だと非難した
- 「GX」は化石燃料の使用と拡大に依存し、グリーンウォッシュの実践だと主張
英国の独立系メディア「クライメイト・ホーム・ニュース」(CHN)が3月2日、「日本政府のGX(グリーントランスフォーメーション)戦略はアジア各国の再エネ転換を脱線させる」との痛烈な記事を掲載した。GX戦略を、グリーンウォッシュの実践だと非難する。具体的には、火力発電所における水素やアンモニア混焼、炭素回収・貯留技術(CCS)など、化石燃料に依存している点が問題だという。(北村佳代子)

■「アンモニア混焼やCCSは化石燃料の温存に過ぎない」
CHNの記事によると、「日本政府は昨年、石炭技術をアジア諸国に輸出することを止めた」ものの、「だが今、日本は再び動き出した」と書き出した。
「気候危機に対して何十年も活動をしてこなかったのちに、岸田文雄首相率いる日本政府は2月10日、いわゆる『グリーントランスフォーメーション』(GX)戦略を打ち出し、クリーンエネルギーへの移行を支援すると称した」
しかし、「この戦略はグリーンウォッシュの実践で、化石燃料の拡大と使用に大きく依存している」と手厳しい。
特に有害なのは、「液化天然ガス(LNG)、石炭火力発電所でのアンモニアの混焼、水素、炭素回収・貯蔵(CCS)など、化石燃料ベースの技術の使用に依存していること」だと続けた。
その理由として、「これらの技術は、再生可能エネルギーによる解決策がより安価で、より信頼性が高く、しかも利用可能である中で、化石燃料の使用を長引かせるだけだ」とした。
記事の要旨は下記の通り。
■「日本の戦略や移行債のグリーンウォッシュを警戒」
▶これらの技術は、地球温暖化を1.5度未満に抑えるという、気候災害を回避するうえでとても重要な排出量削減を実現するものでもない。「投資家は、日本の戦略や移行債のグリーンウォッシュを警戒している」との報道もある。
▶それにもかかわらず、日本は3月4日にアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)閣僚会合を主催し、アジア諸国のエネルギー担当大臣に向けて、こうした化石燃料ベースの技術を奨励し、前進を図ろうとしているのだ。
▶日本は今年、G7の議長国であることを利用して、LNGや上流ガスプロジェクトに対する投融資を増やし、アジアで汚いエネルギー戦略をさらに推進しようとしている。日本のアンモニアと水素技術のほとんどは、もっぱら化石ガスの使用だけに依存している。
▶日本は、ガスが石炭よりもクリーンだと信じさせたいようだ。しかし真実は、それとはほど遠い。ガスの建設は、環境を保護しようとする私たちの道徳的な義務に対する冒涜であり、地球温暖化を1.5度未満に抑えようとする努力をつぶすものだ。
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