記事のポイント
- G7の新たなエンゲージメントグループ「Pride7」が発足
- LGBTQへの差別を禁止する法整備を促すことが目的だ
- G7を前に諸外国からのプレッシャーが強まっている
G7の日本以外の6カ国と欧州連合(EU)駐日大使が、LGBTQへの差別を禁止する法整備を促す書簡を岸田文雄首相宛てに送ったと報道された。政府はその存在を明らかにしていないものの、エマニュエル米駐日大使をはじめ、各国大使はかねてから日本に法制化を求めるメッセージを発信してきた。LGBTQ 支援団体らは3月22日、G7に向けて法整備の機運を盛り上げようと、G7の新たなエンゲージメントグループ「Pride7(P7)」を立ち上げた。(オルタナ副編集長=吉田広子)

G7各国で日本だけがLGBTQに対する差別を禁止する法律を持たない。2021年6月、LGBTQ理解増進法案が超党派の議員連盟で合意されたものの、自民党の反対で国会への提出は見送りになった。
同性カップルの関係性も法的に保障されておらず、法律上の性別変更の際に「不妊要件」を課していることは、国際社会から非人道的だと批判されている。

日本は2023年、G7で議長国を務めることから、諸外国からLGBTQの人権を法的に保護するようにプレッシャーをかけられている。
国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチの土井香苗日本代表は、「日本をはじめ世界中でLGBTQの人たちが差別や暴力にさらされ、同性愛で死刑になってしまう地域もある。こうした人権問題に対し、日本がどういう役割を果たしていくのかが問われている」と話す。
5月に開かれるG7を前に、LGBTQ 支援団体らは、新たなエンゲージメントグループ「Pride7(P7)」を発足した。「エンゲージメントグループ」とは、 企業、非営 利団体、市民団体などによって形成された組織だ。各国政府から独立した存在で、政策提言や対話などを行う。
P7以外にも、企業のグループ「Business7(B7)」、若者のグループ「Youth 7(Y7)」、女性のグループ「Women7(W7)」など、各分野で設立されている。
P7実行委員会は3月30日、各国のLGBTQ当事者や支援団体、大使などが参加するサミットを開催する。サミットでは、コミュニケ(声明文書)をまとめて、政府に提出する予定だ。
松中権・Marriage For All Japan理事は、「これまでさまざまな市民団体が、LGBTQの人権保護活動や政策提言を行ってきた。P7は公式なエンゲージメントグループとして、日本政府に法整備を訴えていきたい」と語った。