記事のポイント
- NTTドコモはサウナを通して「海の温暖化を考える」イベントを企画した
- 海の生き物が感じている「暑さと辛さ」をサウナの熱負荷で表現した
- 温室効果ガスによる熱の9割を海が吸収しており、温暖化の影響を受けやすい
NTTドコモは「世界気象デー」の3月23日に合わせて、海の生き物が感じる「暑さと辛さ」をサウナで体感できるイベントを両国の温浴施設で開いた。温室効果ガスによる熱の9割以上を海が吸収しており、海で暮らす生き物は温暖化の影響を受けやすい。サンゴやウミガメ、ホッキョクグマなど6種類の生き物が感じている「辛さ」とは。(オルタナ編集部・下村つぐみ)

ドコモが開いたイベントの名称は、「海とつながるサウナ produced by docomo」。都内にある温浴施設「両国江戸游」で開いた。
ドコモは2030年までに自社の事業活動で排出する温室効果ガスを「実質ゼロ」にする脱炭素目標を掲げる。今回は、気候変動にまつわる課題を社会に周知することを目指し、このイベントを企画した。
施設内では、海の生き物が温暖化によって感じている「暑さと辛さ」を体感できる。対象となる生き物は、サンゴ、エンペラーペンギン、ウミガメ、ホッキョクグマ、アコヤガイ、イタチザメの6種類。
生き物の選定には、筑波大学生命環境系・西田梓特任助教ら3人の研究者が関わった。
それぞれの生き物が感じる「暑さ」を忠実に再現するため、熱中症などの指標としても用いられる「暑さ指標(WBGT)」をもとに、サウナの温度を設定した。
「暑さ」だけでなく、海で暮らす生き物の特徴や実際に受けている温暖化による被害の「辛さ」を知ってもらうため施設内にはパネルも展示した。

西田特任助教によると、海は地球の表面の7割を占めており、温室効果ガスによる熱のほとんどを海面が吸収しているという。そのため地球温暖化の影響を受けやすく、海で暮らす生き物に深刻な被害を与えている。
産業革命以降、海水温は世界的に1度上昇した。自由に身動きのできないサンゴなどは逃げることができず死に至るケースも多い。国連環境計画は2021年、過去10年間で世界の海に生息するサンゴの14%が絶滅したと発表した。
ウミガメに関しては、地球温暖化の影響で「ほぼメスになる」という研究結果も出ている。米学術誌「Current Biology」が発表した。
卵からかえる時、砂の温度によって性別が決まる特徴があり、温暖化によって性別がメスのみに偏る可能性が出ていると指摘した。
ホッキョクグマに至っては餌となるアザラシが取れず、約45㎏以上も体重が減ったという報告もあるという。
西田特任助教は、「サンゴや貝、魚が温暖化で受ける影響について研究しているが、これらの研究から得た情報は研究者間もしくは行政だけでしか浸透しないことが多い。このイベントで、一般の方にも海の温暖化について知ってもらう機会になれば嬉しい」と話した。
同イベントは3月29日まで開いている。