記事のポイント
- ライオンが「すすぎ工程」ゼロの洗濯洗剤を開発した
- すすぎ行程をなくすことで約5割の水や電気、CO2を削減
- 衣類のダメージも軽減し長く着られる服を実現した
ライオンはこのほど、すすぎのいらない洗濯洗剤「アクロンスマートケア」を発売した。洗濯工程の約7割を占めていた「すすぎ工程」をなくすことで、従来比較で約5割もの水や電気、CO2の削減を実現した。衣類のダメージを軽減し、服の寿命を長く保つことにもつながる。(オルタナ編集部・下村つぐみ)

すすぎのいらない洗濯洗剤「アクロンスマートケア」は、同社で新配合された再付着防止剤「アクロンスマートケア成分」の働きを活用し、洗濯を「洗浄」「脱水」のみで完了できる。すすぎ工程を2回を行う洗濯に比べて半分の時間で洗濯ができるため、時短にもなる。
再付着防止剤には、汚れが再び衣類に不着することを防ぐ働きがある。洗濯洗剤に使われている「界面活性剤」は、洗浄に優れた働きを持つが、一度衣類に吸着するとなかなか取れにくい。「すすぎ工程」は、その界面活性剤を落とすために必要な工程だった。
しかし、「アクロンスマートケア成分」は界面活性剤の働きをサポートする特徴があり、従来よりも少ない界面活性剤で洗濯できるようになったという。界面活性剤が減った分、衣服に吸着する界面活性剤を除去する「すすぎ工程」を省くことができる。
同社は数年がかりで開発を進め、従来の洗濯洗剤同様に汚れやにおいを落とすことを証明した。すすぎ工程がなくなることで、シワやヨレも目立たないようになったという。
当社の調べによると、衣類1㎏をすすぎ2回で洗濯すると、一回の洗濯で約131Lの水を使う。しかし、同製品を用いることで、水の使用量や電気の使用量、CO2排出量を約5割削減することが可能となった。
■服の寿命を延ばす
同社の調査によると、衣類のダメージは洗濯工程の約7割を占める「すすぎ工程」が大きな原因であることが判明した。おしゃれ着で代表されるウールやシルクは動物繊維であるため、水の過剰浸漬や弱アルカリ性に弱い特徴があった。
しかし、アクロンスマートケアは中性洗剤で、すすぎ工程による水の浸漬も少なく抑えるため、デリケートな衣類であってもダメージを軽減できる。お気に入りの服を長く着られるようになれば、衣類の廃棄量を抑制できる可能性がある。
同社のサステナビリティ推進部の小和田みどり部長は「当社が掲げる『より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する』というパーパスに基づき、無理や我慢をしなくても節水などができる商品やサービスで生活者のエコ習慣をつくっていきたい」と述べた。