記事のポイント
- 欧州議会とEU理事会は、海運の排出量削減を法定化することで合意
- 船舶のGHG排出量を20年比で25年までに2%、50年までに80%削減へ
- 船舶の燃料は、34年までに2%以上を再生可能燃料とする
欧州議会とEU理事会は3月23日、海上輸送に関する排出量の削減目標を法定化することで合意した。EU域内で大型船のGHG排出量を段階的に削減し、2025年までに2020年比で2%、2050年までに同80%の削減を目指す。低炭素燃料の普及に向けて、34年までに、船舶の燃料構成の2%以上を再生可能燃料とするよう求めていく。(北村佳代子)

削減目標が適用されるのは、排出量の9割を占める総トン数5000トン以上の船舶だ。EU域内での航海、船上で使うすべてのエネルギー、EU外・EU法の適用を受ける外部地域の港を出発・到着地とする航海で使うエネルギーの50%が対象となる。
排出削減要件の小型船舶への拡大や、EU域外からの船舶に適用するエネルギー比率の引き上げについては、2028年までに検討する。
非生物起源の再生可能燃料(RFNBO)を使用する船主に対しては、2025年から2034年まで、排出量取引制度の中でインセンティブを付与する。2031年にRFNBOの比率が1%に満たない場合、2034年までに再生可能燃料の比率の目標を2%に設定する方針だ。
2030年以降、コンテナ船と旅客船について、EU主要港に停泊期間中、すべての必要電力を陸上給電で賄うことを義務付ける。2035年以降は、陸上給電が可能な他の港湾にも適用を広げ、港湾停泊時の大気汚染の大幅な削減を図る。なお、2時間未満の寄港や、不測の事態や緊急事態による寄港などは、免責となる。