記事のポイント
- 上級管理職に占める女性の割合は30.2%と目標達成
- 非財務情報は透明性とパフォーマンス両方でリーダーシップを発揮とコミット
- ウクライナ侵攻はビジネスなどに影響したが、我々はコミットメントを守る
ネスレのマーク・シュナイダーCEOは、この度公表した「CSVサステナビリティレポート2022」の中で「上級管理職に占める女性の割合が30.2%と目標達成した」と述べた。同氏は「(当社の)非財務情報は、透明性とパフォーマンス両方でリーダーシップを発揮する」とコメント。国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の国際基準制定にあたり、15年前から自発的に非財務情報を公開してきたことに誇りと自信を示した。(オルタナ総研フェロー=室井孝之)

■温室効果ガス排出量は6.42%削減
ネスレの「非財務コミットメント」の内容、指標、実績(2020年⇒2021年⇒2022年)は次の通りである。
1.温室効果ガス (GHG) 排出量を、2050 年カーボンニュートラルへの道として2025年までに2020年の20%、2030年までに同50%削減する。
(指標)通常のシナリオと比較したCO2削減量(百万トン)
(実績)N/A⇒ -4.0%⇒ -6.42%
2.森林破壊のない一次サプライチェーンを達成し、維持する (肉、パーム油、パルプと紙、大豆と砂糖は2022年まで、カカオとコーヒーは2025年までに)
(指標)森林伐採なしと評価された食肉、パーム油、パルプと紙、大豆、砂糖の一次サイチェーンの割合(%)
(実績) N/A⇒ 97.2%⇒ 99.1%
3.2025年までに、主要な原材料の20%を、2030年までに50%再生可能な農法で調達する
(指標)再生可能な農業の方法による主要原料の割合(%)
(実績) N/A⇒ N/A⇒ 6.8%
4.2025年までに、プラスチックパッケージの 95% 以上をリサイクル用に設計する
(指標)リサイクル用に設計されたプラスチック包装の割合 (%)
(実績) 74.8%⇒ 74.9%⇒ 81.9%
5.200人以上の上級管理職に占める女性の割合を2022年までに30%に増やす
(指標)上位200人以上のシニア役職に占める女性の割合 (%)
(実績) 25.6%⇒ 27.2%⇒ 30.2%(達成)
マーク・シュナイダーCEOは「ISSBの新しい規制は2024年から適用される。私たちの持続可能性の報告は自発的行為ではなくなる。過去15年間、持続可能性報告のリーダーであることを誇りに思う。透明性とパフォーマンス両方でリーダーシップを発揮し続けることを目指す」とコミットした。
■可能な限りウクライナでの事業を支援
「CSVサステナビリティレポート2022」のポール・ブルゲ会長とマーク・シュナイダーCEOからの「メッセージ」の概要は次の通りである。
1.ウクライナ侵攻はサプライチェーンの混乱、インフレ、エネルギー不足などビジネス、コミュニティに影響したが、われわれはコミットメントを守る。
2.共通価値の創造にエネルギーとリソースを集中する。
3.温室効果ガス排出量は、2018年を下回った。ネット・ゼロ・ロードマップを前進させる。
4.「ネスカフェ プラン 2030」により再生農業を推進し、コーヒー生産者の生活向上を支援する。
5.Health Star Rating (HSR) システム、栄養プロファイリングAccess to Nutrition Initiative (ATNI)により商品毎の栄養価を開示する。