記事のポイント
- 三井住友フィナンシャルグループは4月3日、「TNFDレポート」を発行
- 同社の事業と自然資本に対するリスクと機会を示した
- 2030年までにサステナブルファイナンスの実行額を累積30兆円目指す
三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)は4月3日、自然資本に対する考え方を示した「TNFDレポート」を発行した。TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の枠組みに沿って、同社の事業と生物多様性など自然資本との関係性やリスクと機会を整理した。指標として、サステナブルファイナンスの実行額を2020年から2029年までの10年間で累積30兆円とすることを表明した。(オルタナ総研フェロー=室井孝之)
SMBCグループは2017年12月、 TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明し、気候変動への取組を継続的に強化してきた。TNFD フォーラムには2022年1月に参画した。
生物多様性の保全と気候変動への対策はコインの表裏のように相互に依存する。同社では、地球環境問題を巡る多様な課題に対応するため、TNFDフォーラムにも参画した。
同レポートの中で、同グループの太田純社長は、「CEOコメント」として、「トランジションの支援」を軸に、脱炭素社会の実現と自然資本の保全・回復への貢献を強調した。
自然資本に関しては、秋田県に設立した農業法人で持続可能な農業ビジネスを実践していることや南米を中心に植林活動を実施している森林ファンドへの出資などを紹介した。
TNFDの開示推奨事項の「指標・目標」に関しては、サステナブルファイナンス実行額を2020年から2029年の10年間で累積30兆円(うちグリーンファイナンス20兆円)を掲げた。
レポートでは、地球環境を守るには、温暖化を防ぐことに加え、自然資本の損失を止め回復させる「ネイチャーポジティブ」を実現することが不可欠だと強調した。