記事のポイント
- 農水省が食品業界の中小企業向けガイダンス、サステナ経営を川上にも普及へ
- 22年3月にESG投資が食品産業に与える影響を報告、中小の取り組みが課題に
- 取引先との対話のなかでガイダンスがきっかけになることを期待する
農林水産省はこのほど、食品製造や流通、外食などの中小企業向けにサステナ経営実践のためのガイダンスをまとめた。22年3月末にまとめたESG投資が食品産業に与える影響についての報告のなかで、中小企業の取り組みが課題になっていることが明らかとなった。農水省では取引先との対話のなかでガイダンスを活用することで、サステナ経営に取り組むきっかけになることを期待する。(オルタナ編集部・萩原 哲郎)

農水省がまとめた「食品企業のためのサステナブル経営に関するガイダンス」は中小企業を対象にした。サステナ経営が求められる背景やリスクと機会、ESG課題別に目標設定や取り組み、情報開示の方法などをまとめた。
ガイダンスでは、食品企業にとって最重要の環境・社会課題として「気候変動」「人権尊重」を据えた。ほかに「食品ロス」「脱プラスチック」「生物多様性保全」「アニマルウェルフェア」「健康・栄養」などを掲げる。
それぞれの課題で目標の設定や取り組みの方法をまとめた。それぞれの課題の開示方法もまとめた。
ガイダンスをまとめたきっかけには、「ESG投資に係る食品産業等への影響調査委託事業調査報告書」が挙がる。ESG投資が広がるなかで、食品業界全体で環境・社会課題に取り組むことが必要だと指摘した。
サステナ経営に取り組む大手企業からの要望もあった。
新事業・食品産業政策課ファイナンス室の中世古昌史課長補佐は「サステナ経営に向けては、サプライチェーン・バリューチェーン双方の取り組みが欠かせない」と話す。
「中小企業向けの手引き」であるため、「平易な言葉で説明してわかりやすく、何からどのように取り組んでいけばいいかということを示すように意識した」(中世古氏)という。
溝口武志ファイナンス室長は「ガイダンスを活用して、サステナ経営を川下から川上へ普及させていきたい」と話す。すでにサステナ経営に取り組む大手企業が取引先との対話のなかで、ガイダンスを活用して中小企業がサステナ経営に踏み出すきっかけになることを期待する。
農林水産省: 「食品企業のためのサステナブル経営に関するガイダンス」