■ソニーとホンダ、協業の行方は
1月にラスベガスで開催されたCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)にソニー・ホンダ モビリティ(SHM)が新ブランド「AFEELA」としてプロトタイプ車両を出展した。

車両は4ドアのBEV(バッテリー電気自動車)で、前後に車両と周囲とのコミュニケーションを図るための各種表示を行なうメディアバーを備えるのが特徴。特定条件下でのレベル3自動運転も実現すると謳う。
SHMは「人とモビリティの新たな関係を創る」と宣言済みだが、現時点では手堅くまとめつつも斬新な部分は多くはなかった。日本を代表するブランドふたつの協業に相応しいクルマの新しい価値の提言に期待したい。発売は2025年の予定だ。
■レクサスが「次世代BEV」を主導へ
4月1日から佐藤恒治氏が社長に就任するトヨタ自動車は、取り組む重点事業の3本柱の1つとして「次世代BEVを起点とした事業改革」を掲げ、レクサスにそれをリードする役割を託する。

そもそもレクサスは2035年にはBEV専業ブランドになると宣言されていたが、今回は「次世代のBEV」開発をレクサスがリードしていくという役割が明確化されたかたちだ。
無論それは海外プレミアムブランドのBEVシフトのスピードに対抗する意味もある。一方、電池やプラットフォーム、クルマのつくり方など、すべてをBEV最適で考えたクルマづくりのノウハウはまずレクサスで示され、トヨタなど他ブランドに展開されていくかたちになる。
■一線を画すスズキの脱炭素戦略
スズキは2030年度に向けた成長戦略を発表した。カーボンニュートラル社会の実現とともに大きな販売シェアを誇るインドはじめ新興国の成長に貢献していく姿勢を明らかにした。
日本、欧州で2050年、インドでは2070年のカーボンニュートラル達成を目指し、各国にBEVそして新型ハイブリッド車を開発、投入していく。
二輪車は2030年BEV比率25%を計画する一方、趣味性の強い大型二輪車では内燃エンジンのカーボンニュートラル燃料対応を検討するという。
他にも国内全工場の2035年度カーボンニュートラル化、インドのバイオガス事業等々、他とは一線を画するスズキらしいやり方で環境負荷低減と成長を加速させていく。
■ホンダが目指すFCエコシステム
2050年に「全活動のCO2排出量を実質ゼロにする」と宣言しているホンダが水素事業の拡大に力を入れていく。ホンダは水素関連技術、燃料電池(FC)について、すでに30年以上に渡って研究、開発を続けており、2013年からはゼネラルモーターズと共同開発に取り組んでいる。
2024年には、その次世代燃料電池システムを搭載した車両(FCEV)を日米で発売。更に2020年代半ば以降、次世代FCモジュールの外販も手掛けていく。
FCEVに加えて現在はディーゼルエンジンが主流の商用車、定置電源、建設機械のパワートレインとしてFCを普及させていくことで、供給、運搬を含めたFCエコシステムの普及拡大を目指す。