
「福島の原発で起きたような、生態系を破壊する大災害に無関心ではいられない」
ローマ法王ベネディクト16世は9日、各国の駐バチカン大使に対する新年のあいさつで、日本の原発事故に触れ、環境や生態系を守ることの重要性を訴えた。
今年6月にブラジル・リオデジャネイロである「国連持続可能な開発会議(リオプラス20)」の会議が開かれる予定。
法王はその成功への期待を示す中で、福島の原発事故に加えて、東南アジア各地での洪水などの天災に触れた。
「環境を守ったり、気候変動や貧困と闘ったりすることは、人類全体の発展にとって大切な問題だ」と話した。
カトリック教会は原則として政治的に中立の立場を保つが、90年代からは環境と人類の調和を強調。教義上の解釈で保守的とされるベネディクト16世もその方針を踏襲している。
また昨年6月に原発再開をしないことを決めたイタリアの原発の国民投票の直前に「環境に配慮した生活様式を選び、人類に危険を及ぼさないエネルギーの研究を開発することが政治と経済の優先事項である」と述べ、投票に影響を与えた。
そのために「法王は脱原発を志向しているのではないか」との観測が世界に広がっている。(オルタナ編集部=石井孝明)