
核戦争などの原子力の利用の失敗による「地球最後の日」までの残り時間を表示する「世界終末時計」を管理する米誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」の代表は10日、福島第1原発事故や核兵器、気候変動の脅威への対処をめぐる不透明さを理由にして、時計の針を地球滅亡の時間午前零時に向けて1分進め、残り5分の午後11時55分にすると発表した。
終末時計は2010年に、オバマ米大統領の核兵器全廃の訴えなど、世界的な協力態勢への期待から1分戻されて残り6分前となっていた。管理グループの代表科学者は、増大する核の緊張、気候変動に対する世界的規模での取り組みの拒否、さらに福島の事故による原発の脆弱性を理由にした。
この時計は、1947年にアメリカの科学者の有志によって毎年発表されている。1949年、1981年には「3分前」まで危機は進んだ。同会は2011年の「アラブの春」などで現れた世界各国の市民の発言権の増大を指摘し、「より良い政治のリーダーシップ」に期待を示している。(オルタナ編集部=石井孝明)
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