コカとファミマ、LGBTQの理解促進に向けて合同イベント

記事のポイント


  1. コカ・コーラシステムとファミマがLGBTQの理解促進に向け合同イベントを行った
  2. LGBTQ当事者のうちカミングアウトできないと回答した人は約7割もいる
  3. 企業がLGBTQの理解を推進していくことの意義について話し合った

コカ・コーラシステムとファミリーマート(東京・港)は4月21日、日本コカ・コーラ(東京・渋谷)でLGBTQの理解促進に向けた社内イベントを合同で開いた。民間企業の調査では、偏見や差別を恐れて周囲にカミングアウトできないと答えた当事者は7割に及ぶ。イベントでは、当事者が抱える課題を紹介し、企業がLGBTQの理解を推進することの意味について話し合った。(オルタナ編集部・下村つぐみ)

一般的には企業は自社の社員向けにLGBTQの啓発セミナーを開く。合同で開くことは少ない。今回、合同で開いたのは、社内外からの注目を集め、様々なステークホルダーの気づきや問題意識を上げることが狙いだという。

企業の持つ「発信力」の可能性は大きい。米国で同性婚が制定された時には、300社以上の企業が同性婚への賛同を示し、後押しした。

このイベントを企画した日本コカ・コーラは、サステナビリティの推進にはバリューチェーン全体の協力が必要だという考えに基づき、ファミリーマートに声をかけた。両社は以前にも子ども向けのSDGs関連イベントで連携したことがあった。

コカ・コーラシステム(製品の企画開発などを行う日本コカ・コーラと製造・販売を行うコカ・コーラボトラーズジャパン(東京・港)などの関連会社とファミリーマートは、すでに同性パートナーに対応した福利厚生制度を導入している。

コカ・コーラシステムでは新たにLGBTQ+ALLYハンドブックを作成し、無料公開を始めた。ファミリーマートでは加盟条件の対象を同性パートナーまで広げた。

合同イベントでは、企業がLGBTQの理解を促進する必要性について話し合った。日本コカのパトリック・ジョーダン人事本部長は、「企業は政府を助けることができる立場にあり、社会をより良い方向へ変えていく責任がある」と強調し、ファミリーマートサステナビリティ推進部の坪井洋子氏は、「企業は強みである『発信力』ですべての人が自分らしく活躍できる社会へ導く役割がある」と語った。

電通の「LGBTQ+調査2020」によると、日本におけるLGBTQの認知度は約8割を超えた。一方、当事者の約7割が未だに安心してカミングアウトできないと回答した。

あらゆるビジネスシーンにおいても意図せずに差別を感じる環境を作り出している。例えば、一部の当事者は父、母、子どもといった典型的な家族像が描かれた企業のポスターを見ると、「自分はこのサービスを受ける対象ではない」と捉えてしまうという。

そのため、ゲストとして登壇したLGBTQ支援を行うグッドエイジングエールズの松中権代表は、「企業は『誰かを置き去りにしていないか』という視点を養う必要がある」と話した。

松中代表はこうも語った。「企業に今求められているのは社会をどれだけ変えていけるかである。企業をはじめ、NGOや自治体など様々なステークホルダーが知恵を持ち寄って話し合い、社会問題の解決に向けた協力体制を広げていくことが重要だ」

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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キーワード: #ビジネスと人権

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