記事のポイント
- プラ条約策定に向けた第2回政府間交渉委員会が5月29日から開催
- 同条約は法的拘束力があり、2024年に制定される予定だ
- NGOの調査によると、世界の7割の市民が国際ルールの導入を支持している
「プラスチック汚染防止条約」策定に向けた第2回政府間交渉委員会が5月29日から6月2日まで、フランス・パリで開催される。同条約は法的拘束力があり、2024年に制定される予定だ。WWF(世界自然保護基金)などの調査によると、世界の7割の市民が、国別の自主的取り組みではなく、国際ルールの導入を支持しているという。(オルタナ副編集長=吉田広子)

エレン・マッカーサー財団などが発表した報告書によると、プラスチックごみの海への流出がこのまま続くと、2050年には海のプラスチックごみは、魚の量を上回ると予測されている。
こうした深刻な状況を受けて、2022年3月に開かれた国連環境総会では、法的拘束力のある「プラスチック汚染防止条約」を採択することが決まった。2024年末までに政府間交渉委員会を5回開催し、条約の制定を目指す。
2022年11月末に開かれた第1回会合には、150カ国以上の国連加盟国、関係国際機関、NGOなど約2300人が参加。日本からは、外務省、経済産業省、環境省から構成される政府代表団が出席した。
第2回会合は5月29日から開催され、条約の枠組みを議論する。焦点の一つは、国際ルールの導入だ。すでに132カ国が国際条約での「禁止や段階的根絶」を支持しているが、日本は「国際的規制には慎重になるべきだ」との姿勢だ。
国際環境NGOグリーンピース・ジャパンシニア渉外担当の小池宏隆氏は、「すでに多くの国が、ポリマーの生産制限・供給サイドにかかわる規制の導入に賛成している。日本政府には、プラスチック生産を制限する世界共通ルールの必要性を訴えてほしい」と強調した。
WWFはプラスチック・フリー財団と共同で、プラスチックの国際条約がどうあるべきか、日本を含む34カ国の約2万人を対象に、オンライン調査を実施した。その結果、国際条約において「国際ルール」の導入を支持した人は7割に達した。一方、日本での支持は34カ国中最低の48%となった。
このほか、世界の市民の75%が「不必要な使い捨てプラスチックを禁止する」ことを支持、78%が「生産者やリテーラーに対し、廃棄物削減・リユース・リサイクルに責任を課す」ことを支持した。