記事のポイント
- 環境NGOが中国自動車市場の2030年のシェア予測を公開した
- トヨタなど日米独6社のシェアが2030年には最大で27.6%まで縮小する見通し
- ガソリン車の段階的な廃止は、自動車メーカーが長期的に事業利益を得る戦略とも合致する
中国自動車市場の2030年のシェア予測を環境NGOがこのほど公開した。トヨタ自動車、フォルクスワーゲン(VW)、本田技研工業など日米独6社のシェアは、50.1%(2021年までの3年間の平均)から、2030年には最大で27.6%にまで縮小する見通しとなった。(オルタナ編集部・北村佳代子)

中国では電気自動車(EV)への移行が急速に進み、新車販売台数に占めるEV比率は、23年の第1四半期で31%とされる。「日米独の完成車メーカーはEV化を加速しなければ、中国市場でのシェアをBYD(比亜迪)などに奪われるだろう」と同NGOは予測した。
中国は世界最大の自動車市場だ。中国汽車工業協会によると2022年の自動車販売台数は2686万台と、新型コロナ禍のロックダウンにもかかわらず前年から2%伸ばした。
このうち、BYDなどの中国自動車メーカーの販売台数は、前年から23%増え、中国勢のシェアは全体の49.9%と前年から5.4ポイント増加した。その背景には中国市場の急速なEVへの移行がある。
中国でのEV販売比率は、2021年の15%から22年には28%に急拡大した。2023年の第1四半期(1月~3月)には、31%に達し、その約8割を、BYD、吉利(Geely)、上海汽車(SAIC)、長安(Chang’an)、広州汽車(GAC)などの中国勢が占めた。
今回の中国自動車業界予測を公開した国際環境NGOのグリーンピース(東アジア)は、次のように指摘した。
「中国の自動車市場で存在感を示すには、急速な電動化対応が必要だ。VWやトヨタのような業界リーダーは、新エネルギー車への移行を加速させないと、BYDのようなオール電化の自動車ブランドにシェアを奪われるリスクがある」。
なお、新エネルギー車の定義は、プラグインハイブリッドEV(PHEV)、バッテリーEV(BEV)、燃料電池車(FCV)を指す。ガソリンとEVのハイブリッド車(HV)は含まない。
■EV普及で変わる中国自動車業界の勢力図