記事のポイント
- ケリー・クレメンツ副高等弁務官が来日し、UNHCR国会議員連盟が特別会合を開いた
- 同氏は「難民保護の公正な責任分担が必要だ」と強調した
- 難民保護に関する国際会議が12月に開かれ、日本は共同議長を務める
12月にスイスで開催される「第2回 グローバル難民フォーラム(GRF)」を前に、ケリー・クレメンツ国連難民副高等弁務官が来日し、UNHCR国会議員連盟は特別会合を開いた。GRFは、4年に1度開催され、第2回は日本が共同議長を務める。クレメンツ副高等弁務官は「1億人が避難を余儀なくされるなか、難民保護の公正な責任分担が必要だ」と強調した。(オルタナ副編集長=吉田広子)

「難民に関するグローバル・コンパクト」は、2018年12月に国連総会で採択された。難民保護を世界全体で促進していくための国際的な取り決めだ。主に「難民受け入れ国の負担軽減」「難民の自立促進」「第三国定住の拡大」「安全かつ尊厳ある帰還に向けた環境整備」を推進する。
4年に一度開催される「グローバル難民フォーラム」では、政府機関や国際金融機関、企業やNGOなどが世界中から一堂に会し、難民支援に関して議論する。
UNHCR国会議員連盟との特別会合に出席したケリー・クレメンツ国連難民副高等弁務官は、「2022年は、紛争や社会の不安定化、自然災害、気候変動などが重なり、厳しい年になった。避難を余儀なくされた人は1億人を超えた。受け入れ地域は、グローバルな連帯を必要としている」と訴える。
「私たちがいまなぜ避難者への対応を変えなければならないのか。難民・避難民を取り残さず、包摂を実現しなければならない。1億人以上の人を排除してしまえば、持続可能な発展ができない。難民を保護するための公平な責任分担が必要だ」と続けた。
フランス、ヨルダン、ウガンダ、コロンビア、スイス、バングラデシュなど各国の駐日大使は、難民受け入れの現状や難民保護を続けるための支援の重要性などについて意見を表明した。
特別会合には、逢沢一郎・衆議院議員(UNHCR国会議員連盟会長)、猪口邦子・参議院議員(UNHCR国会議員連盟事務局長)、中谷元・内閣総理大臣補佐官などが出席。牧山ひろえ・参議院議員など一部の議員からは、現在、国会で審議されている入管法改正案について問題提起がされた。