
損害保険ジャパン(東京・新宿)は、約款のペーパーレス化を進めている。顧客の協力で2011年度は東京スカイツリーの高さを超える量の紙の使用を削減した。
同時に「SAVE JAPAN プロジェクト」として、NPOと協働で生物多様性保全につながるイベントを、全国12地域で34回開催した。
契約の詳細を記した約250ページの約款を任意でウェブ版に切り替えることで、2011年4月から2012年1月末までに、紙の使用量を29トン削減した。この量はA4サイズで重ねると高さ約650メートルになり、634メートルの東京スカイツリーをしのぐ。
同社のCSR活動は、NPOとの協働を重視している。2011年度から2カ年の計画で始まった「SAVE JAPAN プロジェクト」は、自動車保険の契約者がウェブ約款を選んだ件数に応じて、同社が保険料の一部を全国のNPOに寄付する取り組み。間もなく1年目を終える現在、約60%の契約者がウェブ版を選んでいる。
紙使用量の削減は、森林保全と、輸送による二酸化炭素排出量の削減に貢献する。さらに、同プロジェクトは日本各地の希少生物種を保全することを目指し、寄付先を地域の自然を守る環境NPOにしぼった。なお、東日本大震災発生後は、被災地支援NPOへの寄付を優先した。各地域の環境団体は、同社の寄付金を生かして参加型の屋外イベントを開催した。
例えば、新潟県の生物多様性保全ネットワーク新潟は、県内の池などに放流されて増殖中のブラックバス(オオクチバス)やブルーギルの駆除を実施。地域の子供たちは釣った魚の胃の内容物を調べ、外来種が固有の生態系を壊すことを学んだ。
また、香川県の海守さぬき会は、「海底ごみ目にみえる化」をテーマに瀬戸内海に船を出した。子供たちは、底引き網にかかるペットボトルやプラスチック製品などを目の当たりにして、生活ゴミと海のつながりを学んだ。
同社は、これらの成果を3月8日に「エコ・ファースト推進協議会」の情報交換会で発表した。同協議会は、環境保全の取り組みを環境省に約束して「エコ・ファースト企業」と認定された事業者らの自主運営組織。異業種の会員企業36社は、顔を合わせて横の連携を強めながら、さらなるエコに向かって知恵の共有を図っている。(オルタナ編集部=瀬戸内千代)