記事のポイント
- リコーグループは2017年4月、国内企業として初めてRE100に加盟
- 2020年に改定した環境目標はSBTから「1.5℃目標」の認定を受けた
- 環境経営の元祖である同グループの統合報告書をレビューした
環境経営の元祖であるリコーグループの取り組みを紹介します。同社は20年以上前から環境保全と利益追求の両立を目指し、環境経営を推進してきました。RE100にも国内企業で初めて加盟し、SBTから1.5℃目標の認定も受けています。(オルタナ総研フェロー=室井 孝之)
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リコーグループは1998年以来、環境保全と利益創出の同時実現を目指し、環境負荷の削減と再生能力の向上に取り組む「環境経営」を実践してきました。
持続可能な社会の実現に向け、「脱炭素社会の実現」「循環型社会の実現」をマテリアリティ(需要施策)として位置付け、様々な施策を展開しています。
同グループの脱炭素に向けた活動を振り返ります。2017年4月、「リコーグループ環境目標」を設定しました。スコープ1,2のGHG(温室効果ガス)排出を2030年に30%削減(2015年度比)、2050年にはバリューチェーン全体のGHG 排出をゼロにすることを定めました。
この排出目標は、国際的なイニシアティブである SBT(Science Based Targets) イニシアティブから、「パリ協定」が目指す「2℃目標」に整合すると認定を取得しました。
同時に、事業に使う電力を100% 再エネで賄うことを目指す国際的なイニシアティブ「RE100」に日本企業として初めて加盟しました。
2020年には「リコーグループ環境目標」を改定しました。2030年度のGHG 削減目標値をスコープ1,2は63%削減 (2015年比)、スコープ3は40%削減 (2015年比)としました。この目標は、SBTイニシアティブから「1.5℃目標」として認定を受けました。
2018年には、「気候変動関連情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同を表明し、2021年度からは本レポートを発行し、開示を強化しました。
「リコーグループTCFDレポート2022」の「CEOメッセージ」では、山下良則CEOは、日本で初めてRE100に加盟した事を例に挙げ、こう述べました。
「再生可能エネルギー100%を達成する道筋は見通せていなかったが、達成すべきゴールの明確化が必要だと決断した。ゴールがあれば、人はそこに至るために、やるべきことを考えるようになる」と強調しました。
同グループの情報開示ツールは、「統合報告書」、「ESGデータブック」、「TCFDレポート」「サーキュラーエコノミーレポート」の4種類です。
「リコーグループ環境宣言」は「環境負荷削減と地球の再生能力向上に取り組み、事業を通じて脱炭素社会、循環型社会を実現する」と謳っていますので、引き続き「TNFDレポート」を発行されてはいかがでしょうか。