記事のポイント
- 投資家向けに、企業の「格差是正」に関する情報開示枠組みの開発が進む
- 2024年の春ごろまでには「基準案」を公開する予定だ
- TCFDとTNFDと同じ枠組みで設計し、相互活用できるようにする
投資家が各企業のサステナビリティ課題への対応を比較しやすいように、国際的な情報開示の枠組みが整理されてきた。有名なものが、気候変動に関するTCFDと生物多様性に対応したTNFDだ。このほど、「格差是正」に関する情報開示の枠組みが開発されようとしている。(オルタナS編集長=池田 真隆)
企業向けに、不平等に対する情報開示枠組みを開発中だったTIFD(不平等関連財務情報開示タスクフォース、Taskforce on Inequality-related Financial Disclosures)は4月、TSFD(社会関連財務情報開示タスクフォース、Taskforce on Social-related Financial Disclosures)と統合すると発表した。
TSFDは社会的指標に関する情報開示枠組みの開発を目指す組織だ。組織の立ち上げに向けて準備を進めていた。
TIFDとTSFDは統合し、格差是正など社会課題に関する国際的な情報開示の枠組みを開発する。来年の春ごろまでには基準案を公開する予定だ。
TCFDとTNFDは、開示推奨項目が異なるが、ともに情報開示の柱として、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4つを掲げる。社会課題に関する情報開示の枠組みもこの形は踏襲するようだ。

KPMGジャパンは6月14日に、「社会課題に関連する開示タスクフォースが統合へ」と題したレポートを公表した。
そのレポートでは、「TIFDもTSFDもTCFDとTNFDと同じ枠組みを踏襲し、社会課題に関する財務情報開示のフレームワークを構築していく点で共通している。今回の統合は、経済人の集まりであるWBCSDが大きく関与していることに特徴がある。不平等の課題が、経営に影響を及ぼすシステミックリスクとの認識が拡大していることの一端を示しているともいえる」としている。