
通販のフェリシモ(神戸市)が2011年12月に発表した「グラミン・フェリシモ」ブランドが好調だ。
カタログ配布から2カ月で約3000万円を売り上げ、布を織るバングラデシュの村に臨時収入をもたらした。
同ブランドの売り上げの一部は、現地で不足している飲み水の供給に役立てる。
同ブランドは、フェリシモが、バングラデシュのグラミン銀行の創設者ムハマド・ユヌス氏と共同で立ち上げた。バングラデシュの男性の腰巻き「ルンギ」には、伝統のチェック柄が使われてきた。同社は、これを女性向けにアレンジした。
貧しくてもポジティブな現地の人々に感銘を受けた同社は、「希望のチェック」をテーマにデザインを公募。52カ国、約150人の作品の中から米国のデザイナーの「インフィニット・ホープ(無限の希望)」という作品を選び、6種類の配色で展開した。
布の製作は、ユヌス氏を通してバングラデシュの人々に発注した。仕事が減って約30人しか稼働していなかった織り物の村に活気が戻った。老若男女が参加して糸を染めて手織りした。失業中の職人を含む280人が、1カ月ほど仕事に就き、臨時収入を得た。
フェリシモは、この布をエコバッグやペットボトルカバー、ストール、エプロンなど9アイテムに加工して、カタログやウェブサイトで販売中だ。多くの商品は、同社独自の「ローテーションコレクション」方式で受注し、6種類のチェック柄を毎月順番に届ける。
3月20日までの約2カ月で、同ブランドは1万3231点を受注。うち約5000点を占めたリバーシブルのエコバッグ「PECO(ペコ)バッグ」は、約1150万円を売り上げた。
同ブランドの売り上げの3%(一部の商品は半額)を積み立てる「インフィニット・ホープ基金」は、既に100万円を超えた。この基金で1台約25万円の「浄水器付き自転車」を何台か購入して、2012年末に現地に寄贈予定だ。
フェリシモ社員は3月にも現地を視察した。生活向上を喜ぶバングラデシュの人々の笑顔を励みに、現在、夏発行のカタログに追加する8アイテムの開発に力を入れている。(オルタナ編集部=瀬戸内千代)