記事のポイント
- 長野日報紙で「長野環境人士」と題する対談記事の連載が始まった
- 初回の対談相手は、元陸水学会の会長で、諏訪湖クラブの沖野外輝夫会長
- 諏訪湖の水質改善は、地域住民の主体性があってこそ成功したという
■小林光のエコめがね(32)■
6月15日付の長野日報紙に「長野環境人士」と題する対談記事の第一回が掲載された。対談の一方は、この私。今後、月一回の掲載で、おそらく数年を掛け、したがって相当数の方々と私は対談を重ねることになるはずだ。

長野には、そこで暮らし働く人々と環境との間に生き生きとした支え合う関係がたくさん見られるように、私はつくづく感じる。
この連続対談の狙いは、楽しいエコである。生態系の健全な一部になれるように人間の活動を調整することで、暮らしがワクワクと楽しくなったり、仕事が儲かるようになったり、といった、そうしたエコロジーの実践的な在り方を、諏訪を中心とした地元の実例を通じて発信していくことである。
初回の対談相手は、元陸水学会の会長で、諏訪湖クラブの現会長の、沖野外輝夫先生。私は大学出て半世紀の環境三昧だが、沖野先生は、私の職業人生より暦1巡長い間、環境、特に水にかかわっていらっしゃる。東京から諏訪湖畔に移り住み、現場で諏訪湖研究を始めてからだけでも半世紀を数える。環境研究の大先達だ。
諏訪湖は、この圏域20万人の人々のアイデンティティの中核になっている。その諏訪湖が汚くて嫌がられる存在から、大復活を遂げた。
対談では、沖野先生は、諏訪地域の人たちの、それぞれがしっかりした見識を持っていることの美質を活かした協働が、これまでの諏訪湖の水質改善のサクセスストリーの原動力となったことを強調されていらした。
地域の宝物を皆で磨いてきた、その経験自体も宝物である。宝物がさらに将来に向かって光を発していくよう、この対談の場を使っていきたいと、自分としても意を強くする機会となった。
長野日報のこの対談記事は、月一回のペースで掲載されるが、今のところ、電子版などには掲載されていないので地元読者以外にはアクセスが難しいかもしれない。ご関心があれば、是非、地方のクオリティペーパーを収蔵する大きな図書館で見ていただきたい。
私自身は、この対談に登場する環境人士の方々の活動も含めた地元の明るい環境ネタを、機会を見て一冊にまとめて上梓し、いろいろな人々と多数の環境要素が織りなす地域のエコシステムが発展していく姿、流行りの言葉で言えば「ネイチャー・ポジティブ」(自然再興)の生きた姿を紹介してみたいとも思っている。
今後の対談を通じて自分の学びが大いに進むに違いないと、とても楽しみである。