自死関連報道巡り、厚労省が注意喚起「いまは報道控えて」

記事のポイント


  1. 厚生労働省は著名人の自死報道を控えるように注意喚起した
  2. 自死に関する報道は、自死を誘発する可能性がある
  3. WHOは「報道を過度に繰り返さないこと」などをガイドラインで定めた

厚生労働省は7月12日、著名人の自死報道を巡り、自死を誘発する可能性があるとして、報道を控えるように注意喚起した。2023年に入って4度目だ。世界保健機関(WHO)は、自死報道に関するガイドラインで、「報道を過度に繰り返さないこと」「自死が発生した現場や場所を報道しないこと」「亡くなった人の写真を使用する際には家族の許可を取ること」などを定めている。(オルタナ副編集長=吉田広子)

「自殺対策を推進するためにメディア関係者に知ってもらいたい基礎知識」https://www.mhlw.go.jp/content/000526937.pdf
「自殺対策を推進するためにメディア関係者に知ってもらいたい基礎知識」https://www.mhlw.go.jp/content/000526937.pdf

厚労省は、自死に関連する報道が、自死念慮を抱えている人の自殺リスクを高めることにつながることから、いまは報道を控えるか、トップニュースとして扱わないように求めた。

WHOは2000年、自死防止を目的とする報道関係者向けの勧告を発表した。最新のガイドラインは、2017年改訂版「自殺対策を推進するためにメディア関係者に知ってもらいたい基礎知識」だ。

ガイドラインでは、「自死に関する報道は、自死リスクの高い人に模倣自殺を誘発させる可能性を高める。有名人の死を美化することで、気付かないうちに社会が自死関連行動を称賛し、その結果、別の人の自死関連行動を促進させてしまう可能性を意味している」としている。

WHOは報道機関に対し、次の対応を求めている。

■自死関連報道として「やるべきでないこと」

・報道を過度に繰り返さないこと

・自死に用いた手段について明確に表現しないこと

・自死が発生した現場や場所の詳細を伝えないこと

・センセーショナルな見出しを使わないこと

・写真、ビデオ映像、デジタルメディアへのリンクなどは用いないこと

・自死で亡くなった人の写真を使用する際には細心の注意を払い、画像を使用するのであれば、家族の許可を取ること。こうした画像は目立つ場所に配置しないこと

■自死関連報道として「やるべきこと」

・有名人の自死を報道する際には、特に注意すること

・自死により遺された家族や友人にインタビューをする時は、慎重を期すること

・支援策や相談先について、正しい情報を提供すること

・日常生活のストレス要因または自死念慮への対処法や支援を受ける方法について報道すること

・自死と自死対策についての正しい情報を報道すること

・メディア関係者自身が、自死による影響を受ける可能性があることを認識すること

【主な相談窓口
自死や事件等に関する報道でつらい気持ちになった読者や視聴者が、こころを落ち着けるためのウェブサイト「こころのオンライン避難所」
・こころのオンライン避難所 https://jscp.or.jp/lp/selfcare/

電話やSNS による相談窓口の情報
・#いのちSOS(電話相談)https://www.lifelink.or.jp/inochisos/
・チャイルドライン(電話相談)https://childline.or.jp/index.html
・生きづらびっと(SNS 相談)https://yorisoi-chat.jp/
・あなたのいばしょ(SNS 相談)https://talkme.jp/
・こころのほっとチャット(SNS 相談)https://www.npo-tms.or.jp/service/sns.html
・10 代20 代女性のLINE 相談(SNS 相談)https://page.line.me/ahl0608p?openQrModal=true

相談窓口の一覧ページ
・厚生労働省 まもろうよこころ https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/
・いのち支える相談窓口一覧(都道府県・政令指定都市別の相談窓口一覧)
https://jscp.or.jp/soudan/

孤独・孤立対策の支援制度や相談窓口の検索サイト
・あなたはひとりじゃない 内閣官房 相談窓口等の案内 https://notalone-cas.go.jp/
支援制度・相談窓口の検索 https://notalone-cas.go.jp/search/
18 歳以下の方向けの検索ページ https://notalone-cas.go.jp/under18_chatbot/

子ども向け相談窓口
・チャイルドラインの電話相談窓口(0120-99-7777)
・文部科学省による24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)
・法務省による子どもの人権110番(0120-007-110)

LGBTQ相談先リスト(虹色ダイバーシティ)https://nijiirodiversity.jp/513/

yoshida

吉田 広子(オルタナ輪番編集長)

大学卒業後、米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。日本に帰国後の2007年10月、株式会社オルタナ入社。2011年~副編集長。2025年4月から現職。執筆記事一覧

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キーワード: #ビジネスと人権

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