記事のポイント
- 花王はGPIFが採用する全ESG指数(国内株式向け)の構成銘柄に選ばれた
- 「脱炭素」や「原材料調達」における取り組みが評価された
- 同社は「選ばれなくなる」という危機感がESGを加速すると話す
花王は7月13日、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が採用するすべてのESG指数(国内株式)の構成銘柄に選ばれた。今年度GPIFは、「FTSE Blossom Japan Index」や「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」など国内株式向けに6つのESG指数を採用している。同社は「選ばれなくなる」という危機感がESGを加速すると話す。(オルタナS編集長=池田 真隆)

GPIFが国内株式向けに採用したESG指数は次の6つだ。ロンドン証券取引所の一企業であるFTSE Russellが開発した「FTSE Blossom Japan Index」「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」、MSCI社(米国)の「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」「MSCI日本株女性活躍指数(WIN)」、加えて「S&P/JPX カーボン・エフィシエント指数」と今年度からGPIFが採用した「Morningstar 日本株式ジェンダー・ダイバーシティ・ティルト指数<除く REIT>」がある。
国外株式も含めた8つのESG指数に基づくGPIFの運用資産額は約12.1兆円(2022年3月)だ。そのうち国内株式向けの6つのESG指数には約7兆円を充てている。
花王は、「FTSE Blossom Japan Index」「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」に7年連続、「MSCI日本株女性活躍指数(WIN)」「S&P/JPX カーボン・エフィシエント指数」に6年連続で選ばれた。
同社は2019年4月にESG戦略として「Kirei Lifestyle Plan」を策定し、「脱炭素」や「責任ある原材料調達」など19の重点取り組みを設定した。脱炭素に関しては、2040年までに「カーボン実質ゼロ」、2050年までに排出量より吸収量が多い「カーボンネガティブ」をめざす。
同社の大谷純子・ESG部門ESG戦略部長は、「今回のESG指数では、調達から生産・輸送、使用、廃棄を含めた製品ライフサイクルの各段階における排出量削減の取り組みや、パーム油・パーム核油の調達におけるトレーサビリティの確保をステークホルダーと連携し推進している活動が高く評価されたと認識している」と話した。
■「選ばれなくなる」危機感がESGを加速する
大谷部長は、「商品を購入する際、環境や人権に配慮しているかを判断材料にするエシカル消費が今後拡大していくはずだ。より一層取り組みを強化しなければ私たちの商品が選ばれなくなる」と危機感を示す。
そうした時代において、企業の役割を、「選択肢の提供」と考える。「さまざまなESG指数が提示するテーマに対応することで、生活者一人ひとりの価値観の実現により寄り添うことができ、財務へのポジティブなインパクトが実現できる」。
■GPIFが採用した国内株式向けのESG指数の構成銘柄一覧
・FTSE Blossom Japan Index
・FTSE Blossom Japan Sector Relative Index
・MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数
・MSCI日本株女性活躍指数 (WIN)
・Morningstar 日本株式ジェンダー・ダイバーシティ・ティルト指数(除く REIT)
・S&P/JPXカーボン・エフィシェント指数(2022年3月31日時点)