記事のポイント
- 公取委は高速道路のEV充電サービスが1社独占状態にあると指摘した
- 東電と中電の共同出資会社がEV充電器シェアの約99%を占めていた
- 公取委は、独禁法上問題となる明確な案件があれば厳正に対処する方針だ
公正取引委員会は7月13日、高速道路のEV充電サービスが1社独占状態にあるとの報告書を発表した。報告書によると、イーモビリティパワー(eMP、東京・港)が、サービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)のEV充電器の約98.7%を設置した。公取委は「独占禁止法上問題となる具体的な案件に接した場合には、厳正に対処していく」とした。(オルタナ副編集長=吉田広子)

2050年カーボンニュートラルの実現に向け、EV充電サービスが普及し、市場環境が大きく変化することが予想される。そこで、公取委は、充電インフラ事業が公正かつ自由な競争を促進する環境にあるか、実態調査に乗り出した。
高速道路のSA・PAにおけるEV充電器の設置数は、NEXCO東日本が155、NEXCO中日本が129、NEXCO西日本が141、首都高が9、阪神高速が6、JB本四高速が5、合計445だ。
そのうち、eMPが439を設置、高速道路会社が6を設置した(2023年3月31日時点)。
公取委は実態調査の結果、「eMP以外の事業者が、高速道路のSA・PAにEV充電器を設置することが想定されているとは言い難い」とし、1社独占状態にあると指摘した。
eMPは東京電力と中部電力の共同出資で2019年に発足した。2021年には、トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業、三菱自動車、日本政策投資銀行が株主に加わった。社長は、東電出身の四ツ柳尚子社長だ。
公取委は「経済産業省、国土交通省は議論を深めるべきであり、公取委としても、競争政策の観点から、本議論に参画する。独占禁止法上問題となる具体的な案件に接した場合には、厳正・的確に対処していく」とまとめた。