
日本では年間3万台以上の車いすが廃棄されている。それらを修理し、アジアで車いすを必要とする人々に贈るのが日本社会福祉弘済会(東京・墨田、日社済)の取り組む「空飛ぶ車いす支援事業」だ。1999年に始まり、1万人以上のボランティアが27カ国で約5000台の車いすを届けてきた。
修理は、全国24都道府県にある工業高校の生徒たちが中心となりボランティアで行う。輸送は、渡航するビジネスマンや旅行者が「輸送ボランティア」として、あらかじめ出発空港に送られている車いすを引き取り、手荷物として空港カウンターに預ける仕組みだ。
手荷物の重量制限は20キロだが、軽量のアルミ製の車いすでも重量は15キロある。そのため制限を超過する場合は、2、3人で1台を持ち込んだり、日社済が各航空会社に制限緩和のための協力を要請する。車いすは、現地ボランティアが引き取り、利用者に手渡す。
また、日社済は、誰でも参加できるボランティアとして「書き損じはがき収集」を提唱している。年間約2万枚のハガキを集め、郵便局で切手に交換し、企業に買い取ってもらっている。
そうして得た約70万円の資金は、パンクしないポリウレタン製のタイヤの購入費(1台分で5000円)などに活用される。(オルタナ編集部=赤坂祥彦)