アマゾン、再エネ90%切り替えでGHG排出量が初の「減少」へ

記事のポイント


  1. 米アマゾンは2022年のGHG排出量が前年比で0.4%減少したと発表
  2. GHG排出量については2018年から開示を始めて以来、初めて「減少」した
  3. 一方、スコープ3は独自の算出方法で測定しており、疑問視する見方もある

米アマゾン・ドット・コムは7月18日、2022年版のサステナビリティレポートを公開し、グローバルでの温室効果ガス(GHG)排出量が前年比「0.4%減」だったことを発表した。2040年のネット・ゼロ達成を目標に掲げる同社が2018年に開示を始めてから、排出量がマイナスに転じたのは初めてだ。一方で、「スコープ3」の算出を自社ブランドに限定したことについて、疑問視する見方もある。(オルタナ編集部・北村佳代子)

スコープ3の算出方式の対象は、ECで販売したアマゾンブランドに限られている(画像はイメージ)

アマゾンの温室効果ガス(GHG)排出量は2022年、前年比0.4%減の7127万トンとなった。同社の排出量は2018年の開示以来増加を続け、2021年には前年比18%増の7154万トンとなっていた。今回、同社は初めて排出量の削減を報告した。

排出量削減の大部分は、スコープ2(購入電力からの排出量)によるもので、前年の407万トンから29%減少し、289万トンとなった。

同社は再生可能エネルギーへの投資を進めてきた。総電力の90%を再生可能エネルギーで賄う。2025年までに、使用電力の100%を再エネに切り替えることを目標に掲げており、「計画通り進捗している」という。

一方で、スコープ1の排出量は前年の1211万トンから11%増え、1340万トンとなった。レポートでは、事業が成長したこととアマゾン・ロジスティクス経由での輸送が増えたことを要因に挙げた。

スコープ1の削減に向けて、配送トラックのEV化や水素発電による倉庫車両の導入を進める。同時に、使い捨てプラスチック削減の取り組みにも注力しており、現状、追加的な梱包をしない荷物は全体の11.6%だと報告した。

スコープ3排出量は、前年比0.7%減の5498万トンとなった。スコープ3は、同社総排出量の4分の3以上を占める。

スコープ3の削減に向け、アマゾンは2024年以降、サプライヤーに対して排出量データの共有と削減目標の設定を義務付けるという。

アマゾンの開示内容に関しては、ブルームバーグが、同社のスコープ3の算出方式が米ウォルマートなどとは異なる点を指摘する。同社が算出対象としているのは、ECで販売したアマゾンブランドに限られており、大半を占める他社ブランド製品を含めていないという。

北村(宮子)佳代子(オルタナ輪番編集長)

北村(宮子)佳代子(オルタナ輪番編集長)

オルタナ輪番編集長。アヴニール・ワークス株式会社代表取締役。伊藤忠商事、IIJ、ソニー、ソニーフィナンシャルで、主としてIR・広報を経験後、独立。上場企業のアニュアルレポートや統合報告書などで数多くのトップインタビューを執筆。英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー。2023年からオルタナ編集部、2024年1月からオルタナ副編集長。

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キーワード: #脱炭素

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