記事のポイント
- 民間調査会社が従業員エンゲージメントと財務指標の相関関係を調査した
- エンゲージメントのスコアは財務指標に正の相関、ROEは最大15%超の差に
- エンゲージメントが高いほど、より効果的に収益につながることを示唆
民間調査会社が従業員エンゲージメントと財務指標の相関関係の調査を行った。従業員エンゲージメントのスコアと財務指標に正の相関関係が見られ、ROEでは、スコアの高い企業は低い企業に対して最大で15%以上高かった。ROICやPBRでも10%以上の差がついた。従業員のエンゲージメントが高いほど、より効率的に収益につなげられることを示唆する。(オルタナ編集部・萩原 哲郎)

調査はリンクアンドモチベーションが2022年に従業員エンゲージメント調査を行った、東証プライム市場、スタンダード市場に上場する62社を対象に実施した。
組織に帰属する要因をエンゲージメントファクターとして、会社・上司・職場の3分野16領域に分類。従業員に期待度と満足度の2つの観点から質問を行い、5段階で評価した。また会社、仕事、上司、職場についての総合満足度についても質問した。
調査の結果、従業員のエンゲージメントと財務指標に正の相関関係があることがわかった。
調査では、スコアが一番高い企業群をAとし、一番低い企業群であるDまでの4段階に分類した。ROEではエンゲージメントが高い企業群Aが低い企業群Dと比べて、15%以上高かった。
ROICでは13.4%高かった。PBRでは、Dの企業群すべてが1倍割れとなったのに対し、Aの企業群では80%の企業が1倍を上回る結果となった。
レポートの発行責任者を務めた、リンクコーポレイトコミュニケーションズ(東京・中央)の白藤大仁社長は「従業員エンゲージメントが企業の成長ドライバーとしての重要項になり得る可能性を示唆している」とコメントした。
レポートでは、人的資本への投資が財務指標にどのようなプロセスでインパクトしていくかについても追加で分析していくことも必要だとした。