記事のポイント
- ウォルマートとペプシコが「再生農業」の農家支援に向けた計画を発表した
- 両社は、今後7年間で「再生農業」の農家支援に約1.2億ドルを投じる予定だ
- 再生農業の導入により、両社は2040年までの「ネット・ゼロ」達成を目指す
米小売大手のウォルマートと米食品大手のペプシコは2023年7月、「再生(リジェネラティブ)農業」の農家支援に向けた計画を発表した。ネスレも2030年までに原料の50%を再生農業から調達することを目標とするなど、グローバル企業の「再生農業」支援が目立ってきた。(オルタナ編集部・北村佳代子)

「再生農業」とは、農地や生態系を保全、回復することを目的とした農業システムを指す。2010年代半ば以降、米国や欧州で動きが出てきた。「リジェネラティブ」という概念は、サステナブル(持続可能)よりも、これまで失われた自然資本や生態系を回復させる意味合いが強い。
ウォルマートとペプシコは7年間で総額1.2億ドル(約170億円)を投じる。米国やカナダの200万エーカー(約81万ヘクタール)以上の農地で再生農業の導入を図り、2030年までに約400万トンのGHG(温室効果ガス)排出量の削減・除去を目指す。
両社は本協業の発表に際して、自主的に再生農業を導入した米ネブラスカ州にある農家の言葉を紹介した。
「再生農業の実践は、環境面や食料の品質の面だけでなく、事業の収益性の点でも農家にとって有益だ」
「少ない肥料でより多くの作物を栽培できたり、水の使用を減らしても同規模の作物を栽培できたりしたら、今後何世代にもわたって、環境や利益面でのベネフィットをもたらしながら農場を強化できる」(ネブラスカ州マックスウェルのアイランド・ファーム経営者のジェフ・ハフマン氏)
■両社が再生農業の導入支援に踏み切った背景は?
■ウォルマートもペプシコも野心的な目標を掲げる