記事のポイント
- 記録的な猛暑が続き、国連・事務総長は「地球沸騰化時代にある」と訴えた
- しかし、「地球の限界」を警告した研究は世界各地で増えていた
- 地球の気候システムが劇的に変動する「臨界点」を越えつつあるとの指摘も
国連のアントニオ・グテーレス事務総長は2023年7月27日、「地球沸騰化の時代に入った」と警鐘を鳴らした。だが、実はこの事実は、すでに多くの科学者や研究者が予測していた。にもかかわらず、「研究者たちの危機感が社会にほとんど共有されない」と米エネルギー省ローレンス・バークレー研究所の白石賢志研究員は指摘する。(オルタナ編集部)

気候変動によって地球の気候システムが激変する「臨界点」(ティッピング・ポイント)を迎えるタイミングが、これまで考えられていた時期よりも早く訪れると警告する研究結果が増えていた。白石研究員は、オルタナ編集部の取材に対して、「近い将来、『こんな大事になるとは聞いていない』という悲鳴が世界各地から上がるはずだ」と言い切った。
2023年7月の世界の平均気温は、観測史上、最も暑かった。過去12万年で「最も暑い1カ月」と指摘した専門家もいる。この事態を受け、国連のグテーレス事務総長は7月27日、「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代にある」と警鐘を鳴らした。
先進国は2040年、その他の国は2050年までに「ネットゼロ」にコミットする必要があるとし、脱化石燃料を早急に実現するよう訴えた。気候変動に対して脆弱な国に対する資金的な支援の重要性も語った。(グテーレス事務総長の会見全文翻訳版はこちら)
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