連載: 曲がり角のカーボンニュートラル(2)
記事のポイント
- 国際標準化機構(ISO)が「カーボンニュートラル」の厳格化に乗り出した
- ISOは、「カーボンニュートラル」を認証する国際規格を年内にも発行する
- 脱炭素化に向けて、国際的な指標ができる意義は大きい
国際標準化機構(ISO)が「カーボンニュートラル」の厳格化に乗り出した。ISOは、「カーボンニュートラル」を認証する国際規格を年内にも発行する予定だ。自称カーボンニュートラルが乱立する中、国際的な指標ができる意義は大きい。(オルタナS編集長=池田 真隆)
ISOが開発中の国際規格は、「ISO14068」だ。同規格では、温室効果ガス(GHG)の排出量と吸収量が差し引きゼロになる状態を、「カーボンニュートラリティ」として認証する。2020年から開発を始め、現在、最終版のドラフトを策定中だ。2023年11月か12月の発行を見込む。
■トレンドはPASからISOへの格上げ
ISO14068のドラフトは、「PAS(パス)2060」という規格をもとに策定した。PASとは、Publicly Available Specificationの略称で、日本語では「公開仕様書」を指す。いわゆる「デファクトスタンダード」と同義だ。

ISOと比べて、認知度や影響力は劣るが、開発までのスピードが速く、内容に自由度が効く点が特徴だ。PASの発行免許を持つ、BSI(British Standards Institution:英国規格協会)やISOなどの規格策定機関に依頼すれば、企業や政府、NPOなどどのような組織でも作ることができる。
近年では、PAS規格をISOに格上げする流れが主流だ。BSIグループジャパンのビジネスデベロップメントに所属する内藤高志・サステナビリティチャンピオンは、「以前は、PAS規格から、BS(英国国家規格)を経て、ISOに上がる流れが多かった。だが、開発スピードが速いPAS規格から、国際的にニーズが高いISO(国際規格)に一気に格上げする動きがトレンドになってきた」と話す。

■英小売大手マーク&スペンサーなどがPAS2060の策定に関わる
■エビアンやベントレーなど約100社が認証取得
■サントリーも取得、「CO2排出量ゼロ工場」強調へ
■ISO14068、「透明性」「科学的根拠」など11原則