記事のポイント
- 人事院は国家公務員向けに「週休3日」を認めるよう、内閣と国会に勧告した
- 総労働時間を変えずに、土日以外にも1日休める働き方を求めた
- 2025年4月1日からの施行を目指す。民間企業にも波及しそうだ
人事院は8月7日、2025年4月までに勤務時間法を改正し、国家公務員が「週休3日」で働くことができるよう、内閣と国会に勧告した。総労働時間を変えずに、土日以外にも休日を1日選べるようにする。政府が6月に閣議決定した「骨太の方針2023」でも「週休3日制度の拡充」を重要施策に挙げており、民間企業でも同様の動きが広がりそうだ。(オルタナS編集長=池田 真隆)

岸田文雄首相は7日、総理大臣官邸で人事院の川本裕子総裁から人事院勧告を受け取った。人事院勧告とは、国家公務員の給与など勤務条件の見直しを国会と内閣に求める制度だ。
給与については、平均で月給を0.96%(3869円)増、ボーナス(期末・勤勉手当)を0.10カ月増やし、年4.50カ月とするよう国会と内閣に勧告した。月給とボーナスのどちらもプラス改定は2年連続だ。
働き方改革については、「選択的週休3日制度」の拡充を勧告した。土日に加えて1日休日にする週休3日制は、育児や介護を抱える国家公務員に限り認めている。勤務時間法を改正し、その制度の対象を、2025年4月から一般の国家公務員に広げることを求めた。
フレックスタイム制を活用し、総労働時間を変えずに、土日以外に休める日を1日設ける。国家公務員の所定労働時間は1日当たり7時間45分だ。平日に1日休むことで、残りの4日で7時間45分分働くことができるようにする。
勤務時間法の改正については、今年の臨時国会か来年の通常国会で審議する。
■退職者、2018年度から3年連続で100人超
若手キャリア官僚の退職が相次ぐ。人事院が2022年5月に公表した若手キャリア官僚の退職状況を調べた調査結果では、2018年度から3年連続で退職者は100人を超えた。
退職する主な理由は、「超過労働」だ。内閣人事局による、2022年の臨時国会における官僚の働き方の実態調査では、国会議員の質問案を受けて、官僚が答弁資料を作成し終えた時間は平均で「午前2時56分」だった。
こうした事態を受け、人事院は昨年4月に長時間労働をなくすことを目指した担当部署を設置した。各省庁が勤務時間を適正に管理しているか調べ、指導を行ってきた。
人事院の川本裕子総裁は7日に行った会見で、「人材確保は、応募者の減少や若手職員の離職の増加などにより、危機的とも言える状況だ。霞が関が『ブラック』と言われる状況を打開しなければいけない。霞が関共通の思いだ」と話した。