記事のポイント
- 「2070年炭素中立」と他国から20年遅れていたインドが急速に巻き返し始めた
- 2005年から2019年までの14年間で、CO2排出量を33%減少させた
- 削減のエンジンは、国内の再エネの増加と、森林率の増加だった
「2070年カーボンニュートラル」と、その目標が他国より20年遅れていたインドが急速な巻き返しを始めた。2005年から2019年までの14年間で、排出原単位を33%減少させた。再エネの利用と森林率の増加が大幅な削減に寄与したという。(オルタナ編集部・北村佳代子)

インドのモディ首相は2021年11月、第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)で、「2070年までのカーボンニュートラル」(炭素中立)達成を公約した。
ただし、カーボンニュートラル目標年は中国の「2060年」を除いて、日米欧を含むほとんどの国が「2050年」目標を掲げており、「20年の遅れ」が際立っていた。
そのインドが、排出原単位の削減が予想を上回るスピードで進めていると、同国が気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局に提出する「第3次国別報告(TNC)」の作成に携わった関係筋が匿名で明らかにした。本報告はこれから、インド政府による批准を受ける段取りだ。
インドのエネルギー源の大半は化石燃料が占める。しかし、インド政府による自然エネルギーへの転換推進施策が奏功し、排出削減スピードが加速した。
「インド経済の排出原単位は減少を続けている。これはインドが経済成長とGHG排出の完全なデカップリング(切り離し)ができたことを示した」とロイターが8月9日、インド政府関係者の言葉を報じた。
■炭素排出の「原単位」は弱い指標
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